• HOME
  • , 猫の食事
  • 期待のキャットフード『AIM30』を詳しく調べてみた|獣医師の見解も含めて解説します

期待のキャットフード『AIM30』を詳しく調べてみた|獣医師の見解も含めて解説します

キャットフードを食べる猫

タンパク質の一つである「AIM」を使い、猫のための新薬の研究が進められているのをご存じですか?

新薬の開発に期待を寄せる多くの方々から寄付が集まり、今ではその総額が3億円以上にもなったといわれています。

これは「猫が30歳まで生きる日」の著者・宮崎徹教授がインタビューで「資金不足のため同研究開発が中断している」と語った情報が拡散された結果起きたものです。

宮崎徹教授インタビュー記事

多額の寄付金により再開された研究の成果の一つとして、腎臓病予防が期待されるキャットフード『AIM30』が発売されることとなりました。

実際にこのフードを試してみたい飼い主は多いと思いますが、どのようなフードなのか理解した上で与えたいものですよね。

今回は、キャットフード『AIM30』が期待に応えてくれるフードなのか気になっている方へ詳しく紹介します!

「AIM」「A-30」『AIM30』について

分子構造の図

まず知っておきたい用語は、「AIM」「A-30」『AIM30』の3つです。

似たような英字と数字の組み合わせでややこしいですが、このフードを理解する上で重要なものになるため簡潔に説明します。

AIMはそうじ屋

AIMとは、血液中に存在するタンパク質の一つです。

血液検査の結果でアルブミンやグロブリンなどの用語を聞いたことがあると思いますが、それらの仲間と考えてよいでしょう。

血液中のタンパク成分は体の機能を保つための様々な働きがありますが、AIMは血液中のゴミをそうじする際にその力を発揮します。

血液中のゴミ、例えば死んだ細胞などがあるとAIMがそのゴミに張り付いて存在を知らせます。その知らせを受けて、白血球の一つであるマクロファージがゴミを取り除いてくれるのです。

この一連の流れから、AIMは血液中のゴミを排除する「そうじ屋」であるといえるでしょう。(*AIMにはその他にも働きがありますが、ここではわかりやすく説明するため割愛しました)

A-30はAIMを元気にする

次にA-30ですが、これは一般社団法人AIM医学研究所がL-シスチンと呼ばれるアミノ酸を元に作られた成分であると発表しました。

このアミノ酸成分であるA-30は、そうじ屋であるAIMを活性化させる働きがあります。

AIMを活性化させる必要があるのは、そもそも猫においてはAIMがしっかりと働いてくれない事実があるからと宮崎教授が明かしています。血液中にゴミが溜まりやすくなり、その結果腎臓病になってしまうのです。

AIMにはしっかり働いて欲しいので、活性化のためにA-30を!となるわけですね。

『AIM30』はA-30が入ったキャットフード

ここまでの内容を踏まえて、キャットフード『AIM30』の特徴を説明します。

『AIM30』には、血液中のゴミを効率よく減らすためにAIMを活性化させるA-30が入っています。そのため効率よくゴミ掃除ができるようになり、腎臓病になるリスクを減らせるのです。

つまりAIM30は多くの老猫に発症するリスクが高い腎臓病に対し、新しい対策として期待されているフードといえます。

『AIM30』を詳しく調べてみた

キャットフードに触ろうとする猫

『AIM30』が注目されるキャットフードである理由は上述した通りですが、実際の商品がどのようなものなのか気になるところです。

食事は体を作るものですから、飼い主としては慎重に選びたいですよね。

販売メーカーと信頼性

『AIM30』はマルカンより2022年3月1日に発売されました。

ペットフードと用品を扱う総合メーカーで、犬用スナック『ゴン太のほねっこ』のTVCMで有名です。

外資系が強いペットフード市場の中で日本に古くからある老舗メーカーです。

日本のペット市場を昔からみてきたメーカーなので、日本人のペットに対する強い愛情を肌で感じていることでしょう。

それが今回『AIM30』の販売へと繋がったのかもしれませんね。

『AIM30』の原材料と栄養成分

『AIM30』のパッケージに記載されている原材料と栄養成分は次の通りです。

【原材料】
トウモロコシ、グルテンミール、チキン、ビーフ、ポーク、動物性油脂、小麦粉、フィッシュエキス、ローストアマニ、食物繊維、植物性油脂、酵母、チキンレバーパウダー、おからパウダー、まぐろ・かつお削りぶしパウダー、乳酸菌、アガリクス、クランベリー、セサミン、ミネラル類(P、Na、Cl、Ca、K、Zn、Fe、Cu、Co、Mn、I)、アミノ酸類(シスチン、メチオニン、タウリン)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、K3、コリン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、調味料、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ハーブ抽出物)

【栄養成分】
・たん白質:31.0%以上
・脂質:9.5%以上
・粗繊維:4.0%以上
・灰分:9.0%以下
・水分:10.0%以下

(*ここでは『AIM30 室内避妊・去勢後成猫用』を参照しています)

参照元:マルカン公式HP商品情報

原材料の中にアミノ酸類やシスチンの表記があり、これが『A-30』に該当します。

またトウモロコシや小麦粉が使われているため、グレインフリー(穀物不使用)を気にかけている方には不向きなフードかもしれません。

そして主なタンパク質源としてチキン、ビーフ、ポークが使われていることから、食物アレルギーのある子は注意が必要です。

その他、免疫をサポートするアガリクス、老化予防が期待できるセサミン、毛艶をよくするためのアマニなどが含まれています。

上述した原材料は「室内避妊・去勢後成猫用」のものですが、他の種類も同じです。ラインナップによって若干の栄養成分調整が行われています。

栄養成分に関しては、総合栄養食と表示されていることから数値的な問題をしっかりクリアしているとわかり安心です。

商品のラインナップと価格

『AIM30』には、以下のように全部で6種類のラインナップがあります。

・室内成猫用
・室内避妊・去勢後成猫用
・11歳以上室内猫用
・11歳以上室内避妊・去勢後猫用
・15歳以上室内猫用
・20歳を迎える室内猫用

価格に関しては、600gとお試しパック80g共にオープン価格です。

『AIM30』のような注目度の高い商品は、残念ながら高額転売の被害にあってしまうケースが多くあります。高額すぎる場合は注意しましょう。

どこで購入できる?

『AIM30』は2022年現在、以下のようなところで販売されています。

・ホームセンター
・ペットショップ
・大手ECショップ

またSNSで「〇〇で購入できた」との情報が投稿されることもありますが、必ず自分で確認してから買いに行ってくださいね。

今後、大手スーパーやドラッグストアでも販売される可能性もあるでしょう。

嗜好性は?食べてくれるのか心配

ボウルに入ったペット用ドライフード

嗜好性については、口コミなどを見る限り概ね良好なようです。

とはいえ猫にも好みがあるため、まずは少量のお試しパックで様子を見るとよいでしょう。

『AIM30』で知っておくべき大切なこと

猫の寿命が30年になる、腎臓病を予防するといった触れ込みは確かに夢があり、愛猫家にとって嬉しい限りです。

しかし『AIM30』は魔法のようなフードではありません。

メーカーもHPにてはっきりと記載している通り「療法食」ではありません。腎臓病や腎不全の子に与えるフードではないということです。

藁にもすがる思いで何かしてあげたい気持ちは十分にわかりますが、すでに腎臓病であるもしくはその疑いがある場合には、まずは動物病院に連れて行ってあげましょう。

与えることによるメリット・デメリット

『AIM30』を与えるメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】
腎臓病になるリスクを減らせる可能性がある
【デメリット】
特になし
(*ただし、獣医師から療法食の指導を受けている場合には自己判断で与えてはいけません)

『AIM30』のメリットで注意してほしいのは「腎臓病になりにくくなるかもしれない」と可能性のみを提示している点です。

理由は、このフードを食べ続けた結果のデータがないからです。

5年後、10年後に『AIM30』を食べ続けた猫の腎臓の数値がどのように変化するのか、その結果によって初めて真の評価が出るでしょう。

『AIM30』の疑問を徹底解説

テーブルの上で食事中の猫

『AIM30』を与えることで腎臓病は治るのか?

『AIM30』を食べさせても、腎臓病は治りません。

腎臓病を予防する効果に期待はできますが、治療を目的としたフードではないからです。

獣医師の見解は?

獣医師の『AIM30』に対する見解の多くは「健康である猫には与えてみてもよいかもしれない」というものです。

きちんとした科学的証拠と信頼できるデータが揃ってなければ正確な判断ができないため、獣医師のお墨付きをもらうのはまだ先の話になりそうです。

A-30の安全性は?

A-30はL-シスチンを元に作られたアミノ酸です。

L-シスチンはすでに多くのサプリや食品添加物として使われているものなので、安全性における問題はないでしょう。

子猫が食べてもよいのか?

『AIM30』のラインナップを見ると、成猫もしくは老齢猫を対象にしたフードであることがわかります。

子猫と成猫では必要なカロリーが違いますし、消化吸収率がよいフードがベストです。

子猫には『AIM30』を与えずに、子猫用フードを用意してあげてください。

腎臓病の猫に『AIM30』を食べさせるとどうなるのか?

腎臓病が悪化する可能性があります。

『AIM30』は健康な猫を想定して作られたフードです。

飼い主がよかれと思ってしたことが逆効果になる可能性があるため、まずは獣医師に相談しましょう。

他のフードと混ぜて与えてもよいのか?

健康な猫であれば他のフードと混ぜて与えても問題ありません。

ただし腎臓病を予防する『AIM30』の本来の効果が得られるかはわからないため、できれば混ぜずに食べてもらうのがベストでしょう。

AIM活性化成分配合の『ちゅ~る』があるらしい?

『AIM30』はドライフードですが、実はAIM活性化成分が配合された『for AIM ちゅ~る』がいなば食品から発売されています。

2022年7月現在は大手ECサイトだけの取り扱いのようですが、今後は他の『ちゅ~る』と一緒に店頭に並ぶと思われます。

ドライフードが苦手な子は試してみる価値がありますね!

まとめ

手を舐める猫

AIMが話題になり、それに応えて開発販売された『AIM30』が気になっている方は多いはずです。

どこまでの効果があるのかはまだわかりませんが、腎臓病を患うことなく穏やかな時間を過ごせる老猫が増えることを願うばかりです。