茶トラボーイ「オム君」の血尿事件簿~猫のおしっこの病気について~

みなさんこんにちは、ReCheriライターのchiiです。

最近は朝晩と冷え込むことが増えましたね。寒い季節になると、猫のおしっこトラブルが増えるそうです。我が家の茶トラボーイ「オム君」も、1年前の冬に血尿をぶちかますという大事件が起きました。

猫の祖先はもともと砂漠に暮らす動物だったため、少ない水分でも生きていけるような体の仕組みになっています。飲み水も少なく済むように、また吸収した水分を体内で効率良く使えるようになっているため、おしっこもギュッと凝縮されたものが排出されます。猫のおしっこは犬に比べて臭いが強く刺激的なのは、濃縮されたおしっこが出ているからなのです。

そのため猫の尿は結晶化しやすく、おしっこの病気になりやすいと言われています。

 今日はオム君の血尿事件の経験と、猫のおしっこトラブルについてご紹介いたします。

猫の血尿の原因は?

猫が血尿を出した時に疑われるのは以下の病気です。

尿路結石症(猫下部尿路疾患)

膀胱に結石ができていることが原因でおしっこが出づらくなり、膀胱炎になって血尿が出てしまっていることが考えられます。

食事の偏りが原因で尿が酸性またはアルカリ性のどちらかに偏り過ぎて、おしっこの中の成分が結石化してしまいます。

結石が尿道に詰まってしまっている場合、おしっこが出にくくなり頻尿の症状が出ます。

結石の大きさは様々で、砂粒ほど~数センチになることもあります。

突発性膀胱炎とよく似た症状で、エコー検査をしないと結石があるかどうかの判断ができません。

おしっこが出ない状態が24時間以上続くと尿毒症に発展し命にかかわることもありますので、できるだけ早く病院へ行きましょう。

膀胱炎

何らかの原因で膀胱に炎症が起こっている状態です。

最初は頻尿の症状が出て、やがて膀胱や尿道から出血するようになります。

細菌の繁殖によりおしっこが濁ってしまうこともあります。

膀胱炎は原因がはっきりわからない「突発性膀胱炎」であることが半数以上と言われています。

尿路結石などのはっきりとした原因が特定できない場合、ストレスが原因であることもあります。

トイレの位置が変わったり、トイレが汚れていたり、トイレの近くで騒音がしたりするなどの変化トイレに不快感を感じ、トイレに行きたくないためおしっこを我慢してしまうことがあります。

そうすると膀胱で細菌が繁殖しやすくなり、炎症が起こりやすくなってしまいます。

細菌感染が原因での膀胱炎は少数と言われていますが、甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎不全などの病気を発症している猫ちゃんは細菌性の膀胱炎を発症しやすいという調査結果もあります。

尿路感染症

尿道から膀胱、またそれ以外に細菌が入り込み繁殖することが原因で炎症が起こり、組織や粘膜が傷付いて血尿が出ることもあります。

血尿のほか、細菌が繁殖することが原因でおしっこが白く濁るといった症状が出ることもあります。

ひどくなると全身症状に発展することもあります。

タマネギ中毒、ヘモプラズマ中毒

タマネギなどのネギ類を食べてしまったり、人間用の風邪薬を食べてしまったり、ヘモプラズマという赤血球に付く寄生体による中毒が原因で、おしっこが赤っぽくなることがあります。

正確にはこれは出血ではなく、血液の色であるヘモグロビンの尿(血色素尿)が出ている状態です。

これらの中毒はひどい貧血を起こしますので、フラフラしていたり口の中が白いなどの貧血の症状や、黄疸が出る、嘔吐や下痢が起きるなどの症状も出やすくなります。

落下や交通事故などによる損傷

外部からの衝撃により腎臓や膀胱が損傷を起こし、血尿が出ることがあります。

膀胱ガン、腎臓ガン

ガンが原因で溶血症を発症すると、タマネギ中毒と同じように血色素尿が出ることがあります。

以上が考えられる血尿の原因となるものですが、獣医師でないと原因の特定は困難です。

いずれにせよ、おしっこの色が変になるのは何かしら体に異常があるというサインですので、できるだけ早く病院で診てもらいましょう。

血尿事件簿~犯人は誰?~

ある日、猫のおトイレを掃除しようとした時に、使用済みのおしっこシートの一部が赤茶色になっていたことに気が付きました。我が家の猫は「ニャンとも清潔トイレ」というシステムトイレを使用しています。猫砂の層の下部におしっこシートが引き出しに敷いてあるというシステムトイレであるため、オシッコの色に気付くことができました。

初めてのことだったのでビックリして、「猫 オシッコ 変な色」などでネット検索の鬼と化しました。いろいろな記事や知恵袋に目を通すと、どうやら血尿である可能性が濃厚に思われました。

しかし、我が家には猫がオム君の他にロシアンブルーの「レディさん」がいますので、病院に連れていこうにもどちらのオシッコなのか断定できずに困ってしまいました。(黒猫ネロ君とはまだ出会っていませんでした。)その時点で2匹には、ぐったりしていたり食欲がなかったりという外からの異常は見られなかったためです。

そこで私は、名探偵コナン君さながらの推理と証拠集め、トイレ前での張り込みに勤しみました。(真実は、いつもひとつ!)

しかし、現行犯でオシッコをチェックしようと思っても、そこは気まぐれニャンズ…私がいるときには一向にオシッコをしてはくれません。(そりゃあ、鬼の形相でじっと見られていたら嫌ですよね。)

そんなこんなで捜査は難航していましたが、血尿は毎日出ているわけではなさそうでしたし、2人の様子にも特に異常は見られなかっため、ちょっと様子をみようと思いました。

事件が動き出す!

それから2週間ほど経ったころでしょうか、次の事件はキッチンで起こりました。

なんと、シンクの中に真っ赤な鮮血が点々と!これは大変だと、いよいよ焦りました。

いったいどっちなんだ!もう自首しておくれよ!

その時、ふと記憶がよみがえってきたのです。以前、オム君がいきなりシンクでオシッコをし始めたことがあったなぁと!

そう、私がキッチンで何か作業をしていた時にオム君がおもむろにシンクの中に入り、オシッコの構えに…!

その時は普通の色のオシッコでしたが、突然どうしちゃったんだろう?そんなに私にオシッコを見せたかったのかな?(なんて子だ!)などと唖然としました。

しかし、私の目の前でシンクにておしっこをしたのはその1回だったのですっかり忘れていました。(ちなみにレディさんは気高い女王様なので、突然シンクでオシッコなどというクレイジーなことは1回もありません。)

犯人はオム君…あなたですね!

そういえば小さい頃に

オム君は生後3ヶ月くらいの時に夜道で出会い拾った子です。

家に連れて帰ってから去勢手術をするまでの4ヶ月くらい、ずっとオシッコの粗相が治らなかった子でした。

おトイレでする時もあったので場所は覚えているはずなのに、ほとんどお布団の上にしてしまい本当に手を焼きました。

オシッコをするお布団は特に決まっておらず不特定で、少量のオシッコをいたるところにしてしまうという状態でした。

最初は男の子なのでマーキングかな?とも思いましたが、マーキング行為をし始めるのは生後6ヶ月以降のことが多いと知り、生後3ヶ月過ぎたくらいのオム君はにはまだ早いのでマーキングではないと思いました。

ではいったい何故だろうと頭を抱えましたが、結局何が原因かわからずに成猫になるとお粗相をしなくなりました。

今考えると、オム君はオシッコについて繊細な子なのかもしれません。

急いで病院へ!

そんなこんなで現行犯で確認はできませんでしたが、絶対オム君だ!という確信を胸に急いで動物病院へ連れていきました。

ネットに「オシッコを採取しておくと検査もできて良い」と書いてありましたが、オム君だけのオシッコをどうやって採取していいかわからなかったため、血尿と思われる変な色の部分のおしっこシートの写メだけ撮って病院へ行きました。

オム君は相変わらず食欲もあり元気そうで、「なんで元気なオレが病院に連れてかれるんだい?!と、不満と不安に満ちた表情でキャリーの中でウォンウォンと鳴いていました。

獣医さんに一通り説明して、確実にオム君かも断定できないけど診ていただきたいと伝えたところ、エコーで検査してくださいました。

この時点でオム君は完全に「借りてきた猫」状態で諦めの境地にあり、6㎏近くあるもったりバディをイケメン看護師さんに優しく抱かれ、検査室へと静かに消えて行きました。でもあの恨めしそうな眼…あの眼は忘れがたいものでした。

体は大きいけれど、繊細な子であることが判明

エコーの結果、尿路結石の一歩前の状態であることがわかりました

まだ石にはなってないものの、小さな砂のようにキラキラしたものが写っていたのです。

「この状態ではまだ石になっておらず、血尿が出るほど進行していないと思います。もしかしたら他に原因があるのかもしれません。何らかが原因の膀胱炎でしょう。最近、近所で工事の音がうるさかったり、おトイレの場所などの環境が変わったりしていませんか?もしかしたらこの子はとても繊細な子で、少しのことが大きなストレスになっているのかもしれません。そして、寒い時期はオシッコに行くのが面倒になって我慢しちゃう子も多いです。おトイレが遠かったりしてめんどくさくて、近くのシンクでいいか~ってオシッコしちゃってたのかもしれませんね(笑)」

 近所で工事の騒音もないですし、トイレの場所など環境も特に変えてない、という旨を先生に伝えると、おそらく「めんどくさくてオシッコを我慢、からの膀胱炎」であるという結論に至りました。

なんちゅーグータラなやつなんだ!とも思いましたが、むしろ「シンクならオシッコしても問題ないだろう」とオム君なりに一応考えたんだなぁと感心してしまいました。

お布団に乱射から比べれば、すごい成長したなぁと…(笑)

しかし、エコーに写っていたキラキラはゆくゆく結石となりうるものなので、それを予防するための療法食のフードに変えて、膀胱炎のお薬を飲んでしばらく様子を見ましょう、ということになりました。

療法食とは?

療法食とは、ある特定の疾患をケアするために作られたフードのことです。お薬ではないので獣医師の診断なしでも購入することは可能ですが、間違った種類のものを与えてしまうと症状が悪化してしまうこともあります。また、いつまで与え続けるのかという判断も先生でなければ難しいでしょう。獣医さんの指導の下でその子の症状に合った療法食を選んで与えることが大切です。

オム君が処方されたのはヒルズの「c/d マルチケア コンフォート 尿ケア」という療法食で、オシッコのpH値(酸性かアルカリ性かを示す数値)をコントロールして結石ができにくくする効果があるそうです。

この療法食は長期的に与えても大丈夫な種類のものらしく、今のところこのフードを続けています。(血尿が治まってから一度フードを元のものに戻したことがあったのですが、また血尿になってしまったので今現在も療法食を続けています。)

尿路結石には、オシッコが酸性に傾いてできる「シュウ酸カルシウム結石」と、アルカリ性に傾いてできる「ストラバイト結石」の2種類があります。このヒルズの療法食はこの両方の結石症に効果があるそうです。

さらに、この療法食はストレスをケアする成分も入っているため、先生いわく「心が穏やかになる」そうです(笑)療法食にはいろいろ種類があるそうですが、先生は繊細なハートを持つということが判明したオム君にこちらを処方してくださいました。

療法食は病気のケアに特化したフードのため、栄養素にはやや偏りがあります。しかしその偏りは必要なもので、たとえばオム君のように結石の疑いのある子には、結石ができにくくなるようにあえてミネラルを調整する必要がある、というような偏りです。通常の総合栄養食とされるフードの方が栄養素はまんべんなく配合されています。

ですので、もしその子の症状が完全に回復していたら、その偏りは必要なくなるのです。逆に、偏っているせいで体に負担がかかることもあります。そのため、どんな療法食をいつまで続けるのかというアドバイスは、やはり獣医さんにしていただいた方が安心なのです。

飼い主さんそれぞれの考えがあるフード事情

私は過去に、ドッグフードやキャットフードの品質について記事を書いていたことがあります。それまでペットフードにこだわりはなかったのですが、フードの添加物のリスクや穀物とアレルギー症状との関係性など調べる中で、品質の良いフードを選んであげたいと思うようになりました。

特に穀物は消化に負担がかかるという意見を知ってから、「グレインフリー」と呼ばれる穀物不使用のものや、「プレミアムフード」「ヒューマングレード」と呼ばれる無添加で原材料の品質の良いものを試すようになりました。

オム君に療法食が提案されてお試しパックをいただいた時、私は原材料に不安を感じていました。グレインフリーにこだわってきたのに、療法食には原材料のトップに「コーン」とあります。

そして、たくさんお水を飲んでおしっこを出すために尿ケアの療法食は塩分が多めに入っていると先生から説明されたからです。「c/d」は低ナトリウムで作られているため長期的に与えても大丈夫ですよ、と先生は説明してくださいましたが、本当に大丈夫なのかな…と最初は不安に思いました。

しかし、絶対に穀物が悪というわけではないことも今では理解しています。現に、ずっとドラッグストアーやコンビニなどで買えるキャットフードを8歳まで食べてきたレディさんは1回も病気をしたことがありませんし、オム君もグレインフリーではない療法食に変えてもアレルギー症状が出たりはしていません。

これは人間にも言えることですが、添加物を気にする方もいれば気にしない方もいます。ベジタリアンの方もいればお肉が大好きな方もいます。人それぞれの価値観やライフスタイルのの違いであり、強要することはできないと私は思いました。ペットフードに関しても同じで、大切なことはその子に合ったものを飼い主さんが選んであげることだと私は思います。

pH値がわかる、pHチェック猫砂

冒頭でも書きましたが、猫の膀胱炎は原因がはっきりわからないことが多いとのことです。担当の獣医さんもそのような見解で、オム君も原因がわからない「突発性膀胱炎」ということになりました。

本来ならば病院で尿検査を受けたかったのですが、オム君は緊張のためか頻尿状態のためか、病院でおしっこを採取することができませんでした。

私は何が原因なのか知りたいと思い、またまた検索の鬼になりました。ネットでいろいろ調べていると、おしっこのpH値が色でわかる猫砂があることを知りました。さっそくネット通販で購入し使ってみました。

理科の実験で使ったリトマス試験紙のように、青に色が付けばアルカリ性の尿が出ているということがわかる猫砂で、これを使えばせめてpH値だけでもわかるのではと思い、購入して使ってみました。

しばらく使ってみると青く色が付いていました。やはり、おしっこのpHがアルカリ性に傾いて結晶化しているのではないかと思い、獣医さんに相談してみました。

先生は「そんな猫砂があるんですね!」と驚いていました(笑)そのこともふまえて、ヒルズの療法食を選んでくださったのだと思います。

おしっこは健康のバロメーター!

そんなこんなでオム君も無事に血尿&頻尿が治まり、我が家に平和が戻ってきました。血尿を見るとドキッとして、誰が血尿の犯人なのかわからずあたふたしてしまいましたが、早めに病院へ連れていけたことでひどくなる前に治療することができました。オム君がおしっこトラブルになりやすい子であることがわかったので、これからは環境づくりもご飯のことも対策する必要があることがわかって良かったです。

動物は言葉が喋れませんし、人間よりも野生の本能が強いためか痛いことや弱っていることを察知されないよう強がるところがあると思います。ですので、些細な異変にも気付けるようにしなきゃいけないなと感じました。特に毎日のうんちやおしっこは一番体のことがわかるパラメーターだなと感じました。

みなさんもぜひ、毎日の猫ちゃんのおしっこをぜひ見守ってあげてください(●´ω`●)