盲導犬に向いている犬種や、生まれてから引退まで盲導犬の一生について

盲導犬

みなさんは「盲導犬」についてどんなことをご存じですか?

私たちの身近にいる存在ですが、盲導犬にはどんな性質が必要とされているのか、また盲導犬のその一生についてはあまり知られていませんよね。

今回は、「盲導犬に向いている犬種」や、「生まれてから引退までの盲導犬の一生」についてまとめました。

盲導犬はどんなお仕事をしている?

盲導犬

盲導犬のお仕事は、目が不自由な方が外出先でも安全に歩けるように、補助することです。

使用者の横を歩き、段差や曲がり角を教えたり、障害物を避けたりして目の代わりとなる大切な役割です。

お仕事をするときは必ずハーネスを身に着けており、基本的に使用者の左横について歩きます。

「身体障害者補助犬法」という法律があり、盲導犬は電車やバスに一緒に乗ること、お店や施設に一緒に入ることが法律で認められています。

盲導犬は、人間の生活をサポートする犬「補助犬」のひとつ。ほかには、体の不自由な人の日常生活を助ける「介助犬」、耳の不自由な方に音を知らせて生活をサポートする「聴導犬」がいます。

盲導犬にはどんな犬種が向いているの?

世界には700~800種類もの犬がいると言われていますが、どんな犬でも盲導犬になれるわけではありません。

盲導犬にはどんな犬種が適しているのでしょうか。

盲導犬に向いている犬種や性格、反対に向いてない犬種や性格を調べてみました。

盲導犬に向いている犬種や性格

盲導犬に向いている犬種はとても限られています。

・人懐っこく人と一緒にいることを好む
・環境に対応する能力が高い
・好奇心旺盛で訓練に楽しく取り組める
・周囲に威圧感や恐怖感を与えない、かつ、人を引く力がある
・繁殖しやすい
・短毛で手入れがしやすく飼いやすい

以上のことを満たしている犬が盲導犬には向いています。

日本で活躍している盲導犬は性格が温厚なラブラドールレトリバーが盲導犬の大半を占めているそうです。

海外では陽気で好奇心の旺盛なゴールデンレトリバーや、忠誠心が強く賢いシェパード、ダルメシアン、スタンダードプードルなどの犬種の盲導犬も活躍しているようですよ。

盲導犬に向いていない犬種や性格

おすわりをするミニチュアダックスフント

逆に、盲導犬に向かない犬種や性格はどんなものでしょうか。

・番犬として外で飼育されてきた歴史がある
・人と一緒に生活する習慣がない
・小型犬で、危険なときに飼い主を押し戻して守ることができない
・目の見えない人が手入れしにくい被毛

このような犬種だと、人間に懐くことはできても、盲導犬として仕事をすることは難しいでしょう。

日本で古くから狩猟犬や番犬とされてきた秋田犬や柴犬、小さくて愛らしいミニチュアダックスフントやトイプードルなども、以上の理由から不向きです。

盲導犬の誕生から引退後まで

盲導犬

盲導犬は誕生からどのようにして盲導犬になり、そして盲導犬として活躍した後、引退してからはどのような生活を送るのでしょうか。

盲導犬が辿る一生を、順を追って見てみましょう。

誕生~子犬時代

盲導犬は、盲導犬に適した性格の、健康な両親から誕生します。

生まれた子犬がすべて盲導犬になれるわけではなく、盲導犬候補として訓練を積み、攻撃性や性格、癖などを精査されます。

犬種としては盲導犬に向いていても、性格が注意力散漫だったりわがままだったりする場合は、盲導犬にはなれません。

こうして試験を通ったほんの一握りの犬だけが盲導犬となります。

生後2か月までは母犬や兄弟犬と暮らし、その後一歳になるまでの間、約10か月間を一般家庭のボランティア(パピーウォーカー)のもとで育てられます。

ここでは、人間と生活する喜びや愛情、外の音に慣れることや社会的な基本ルールを学びます。

訓練

1歳を過ぎるとパピーウォーカーの元から盲導犬訓練センターへ返され、盲導犬になるための訓練が始まります。

目の不自由な方の歩行を誘導する練習や段差や曲がり角を教える訓練、障害物を避けて歩く訓練などが行われます。

訓練を受けた後は、厳しい試験が待っています。

ここで厳しい試験をクリアして、最終的に盲導犬になれるのは3~4割ほどと言われています。

盲導犬使用者との共同訓練

盲導犬

ここからは実際の使用者との訓練が始まります。いよいよ本番の準備です。

実際に目の不自由の方との歩行訓練や日常生活の仕方などを使用者とともに学んでいきます。

盲導犬としての生活

使用者との共同訓練を問題なく終えたら、ようやく実際に盲導犬としての生活が始まります。

通勤や通学、買い物など外出時の歩行補助を行います。

その際も定期的に訓練士による歩行確認が行われるようです。

引退

10歳近くまで盲導犬としての仕事を全うしたのち使用者と別れ、盲導犬を引退する時がやってきます。

引退後は、一般の引退犬飼育ボランティアさんの家庭で「普通の犬」として生活したり、盲導犬の里(盲導犬引退犬のための施設)で余生をのんびり仲間たちと過ごしたりするようです。

私たちが気を付けたいこと

点字ブロック

盲導犬はとても頭が良く温厚で、可愛いのでつい声をかけたくなってしまいます。

しかし、盲導犬は使用者の目となって一生懸命仕事をしています。

日常生活の危険から守り、使用者が安全に歩けるように、障害物を避けたり段差の前で止まって教えたり、ときには体で使用者を押し返して危険から守ったりと、命を守る重要な役割をはたしているのです。

盲導犬や使用者の方の妨げにならないよう、盲導犬に声をかけたり触ったり、刺激を与えることのないよう配慮が大切ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

盲導犬の存在は知っていても、向いている犬種とその理由や、生まれてから引退までのその一生については知らない人が多かったのではないでしょうか。

私たち人間を助けてくれる犬だからこそ、もっと知識や理解を深めたいものですね。

公開日:2019/01/23  最終更新日:2021/08/19