メスウサギのほぼ100%がかかるという「生殖器疾患」長く一緒にいるための避妊手術のすすめ

ウサギ

ウサギ大きな声で鳴かないこと、小型種であれば大きくなっても1~2Kg程度であることから、一人暮らしやアパート暮らしの方でも飼いやすいペットとして人気です。

芸能人が飼っていることをSNSで発信したり、ウサギの専門店が全国各地にできたりと、その知名度は日々ぐんぐん上がっています。

そして、ゆるやかではありますが、ここ数年でウサギを飼う人が増えていると言われています。

しかし知名度が上がっている反面、ウサギに関する知識を得ることができる場所が多くない現状もあります。

今回の記事では、メスのウサギを飼っている人や飼ってみようと思っている人に知ってほしい、ほぼ100%のメスウサギがかかると言われている「生殖器疾患」についてお話しをしていきます。

メスウサギの9割以上がかかる、恐ろしい病気「生殖器疾患」

数年前までウサギの寿命は5~6歳といわれていました。

しかしここ数年で、エサやグッズが充実したこと、ウサギを診察できる動物病院が増えたことから、10歳を超えても元気なウサギも珍しくありません。

ですが、動物も人間と同じで年を取ると色々な病気にかかりやすくなります。

そんなウサギの病気の中で私が一番気を付けて欲しい、多くの人に知ってほしいと思っているものが「生殖器疾患」です。

生殖器疾患は子宮や卵巣、精巣など生殖器に関する病気の総称であり、オスもメスもかかる可能性がある病気です。

生殖器疾患ってどんなもの?

メスの生殖器疾患には子宮腺ガン、子宮内膜炎、子宮水腫、子宮筋腫、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍などがあります。

腫瘍が悪性だった場合、全身に転移して衰弱しいずれ亡くなります。

オスと違い、メスの生殖器は体の外から見えません。

症状はおなかの中で静かに発症し、確実にじわじわと進行していきます。

ウサギは野生では肉食動物に食べられてしまう、立場の弱い動物です。

弱っている姿を見せることは死に繋がることを知っているウサギたちは、体の調子が悪いことを本能的に隠してしまいます。

血尿が出た、おなかが異様に張っている、食欲が急激に落ちたなどの症状が出たころには既に手遅れだった…そんな話は決して珍しいことではないのです。

そしてそんな生殖器疾患を防ぐ唯一の手段が「避妊手術」になります。

避妊手術のメリット

生殖器疾患疾患を防ぐことができる

これが最大のメリットです。生殖器疾患は避妊手術以外の方法で防ぐことができません。

メスのウサギは3歳を超えると生殖器疾患になる可能性がぐっと高くなります。

かかりつけの獣医さんによると、年齢を重ねるにつれて生殖器疾患にかかる可能性はどんどん高くなり、10歳近くになると9割以上、ほぼ100%と言ってもいいくらいのウサギが生殖器疾患にかかるそうです。

性格が穏やかになる

個体差はありますが、思春期に入ると飼い主さんの言うことを聞かなくなって攻撃的になるウサギがいます。

避妊手術をすると気性が穏やかになり、扱いやすくなるのもメリットの1つです。

避妊手術のデメリット

子どもを産むことができなくなる

避妊手術では全身麻酔をして子宮と卵巣を取ってしまいます(卵巣のみ取り、子宮を残す獣医さんもいます)。

子宮と卵巣を取ってしまうということは、妊娠することも子どもを産むこともできなくなるということです。

避妊手術をしてしまったら、可愛い我が子の赤ちゃんを見ることはできません。

将来子ども産ませる可能性があるのかどうか、しっかりと考えてくださいね。

ケガや病気をしていない健康な体にメスを入れることになる

避妊手術をするということはイコール、ウサギのおなかにメスを入れることになります。

メスのウサギは大人になるにつれてどんどん体に脂肪をたくわえてしまうため、大きくなればなるほどおなかを開ける手術がしにくくなるそうです。

そのため避妊手術には生後6か月~1年くらいの間が適するといわれています。

しかしそんな若くて元気な時期に、あえておなかにメスをいれることに抵抗を覚える方は多いのではないでしょうか

実際私も非常に抵抗感が強く、健康そのもので病気も怪我もしていない可愛い我が子のおなかにメスを入れるべきか心の底から悩みました

避妊手術をするかどうか、葛藤するのはごく自然なこと

避妊手術は我が子と長く一緒にいるために必要なことです。

しかし、かかりつけの獣医さんに聞いたところ、ウサギは麻酔が効きにくいこと、呼吸管理が難しいことから、全身麻酔をするためには技術が必要だそうです。

そして犬や猫に比べると麻酔が原因で亡くなったり、後遺症が残ったりするリスクが高いとのことです。

避妊手術をするということは、何の傷もないウサギのおなかに穴を開けることになります。

そして、長く一緒にいるためにするはずの避妊手術で、命を落としてしまうウサギもゼロではありません。

私もその現実に向き合った時に避妊手術をすることが正しいことなのか、我が子・ネザーランドドワーフの「ちょこもち」のためになるのか、あるいはただの自分のエゴなのか…本当に胃が痛くなるくらい悩みました。

もし麻酔をしたまま「ちょこもち」の目が覚めなかったら、一緒に家に帰ることができなかったらどうしよう…とただひたすら悩みました。

私が1か月悩んで出した答えと決意

私はその後も悩みに悩み続けて、避妊手術をするべきか、なんと1か月近く悩みました

それでも私は「ちょこもち」に避妊手術を受けてもらう道を選びました。

我が子と1年でも2年でも、極端に言えば1日でも1分でも長く一緒にいたいと思ったからです。

それが自分のエゴだという思いも捨てきれませんでしたが、その代わりにこの子に一生添い遂げること、自分ができる限りのことはなんでもすることを誓って避妊手術を受けてもらうことにしたのです。

悩みに悩んだ避妊手術でしたが、手術はあっという間に終わりました。

しばらくの間傷の保護のためにつけているエリザベスカラーを鬱陶しそうにいじる「ちょこもち」を見ながら、無事に帰って来てくれたことが嬉しくてたまりませんでした。

それでも私はメスのウサギを飼っている皆さんに避妊手術を勧めたい

「ちょこもち」はもうすぐで5歳、人間でいえばもう中年と呼ばれる年齢を迎えます。

そしてあの時勇気を出して避妊手術をする決断をしていなかったら、生殖器疾患にかかる可能性が高い年齢です。

正直な話、避妊手術をするかどうか悩んでいた1か月と避妊手術を受けている「ちょこもち」を自宅で待っていた1日の間は気が気ではなく、心が張り裂けそうな程辛い思いでした。

それでも避妊手術のメリットとデメリットをきちんと説明して勧めてくれた獣医さん、そして手術に耐えてくれた「ちょこもち」のお陰で今の日々があります。

生殖器疾患の心配が全くないことで過ごせる、穏やかな日々に感謝の気持ちでいっぱいです。

可愛い我が子に避妊手術をすることに対して、非常に抵抗感がある方も多いと思います。

それでも私は中年ウサギの飼い主として、避妊手術をすることと、そのメリットデメリットを広く勧めていきたいと強く思っています。

しかし避妊手術をするのもしないのも最終的には飼い主さんの考え方次第です。

たくさん悩んで考えて、ぜひ後悔が少ない方を選んでくださいね。

今一緒に過ごしている我が子、未来の我が子に避妊手術をするかどうか考えるきっかけや参考になれば、幸いです。