犬がたまねぎを食べた!飼い主が取るべき行動は?中毒症状や致死量も解説

バスケットに入った玉ねぎと犬
犬の食事

「犬にたまねぎを与えてはいけない」という決まりは有名です。

人間にとって身近な野菜のひとつである玉ねぎですが、犬が食べてしまうと命の危険に関わる重篤な症状を引き起こします。

今回は、たまねぎが犬に悪影響を及ぼす理由や食べてしまったときに飼い主さんができることをご紹介します。

愛犬の命を守るための知識を身に付け、責任感を持った行動を心がけましょう。

犬がたまねぎを食べてしまったときは

獣医師の処置を受ける犬

まずは「愛犬がたまねぎを食べてしまった!どうしよう?」と慌てて検索している飼い主さんのために、今すぐにやるべきこと・やってはいけないことをご紹介します。

量にかかわらずすぐに病院へ

今すぐに診察してもらえる動物病院を調べて連絡し、一刻も早く向かいましょう。

たまねぎ中毒による症状は、基本的には時間経過で自然治癒することはないため「しばらく様子を見よう」と観察する必要はありません。

1分1秒でも早い受診が愛犬の健康、命を左右します。食べた量にかかわらず「誤食したら病院」が鉄則です。

自分で吐かせようとしない

インターネットには「たまねぎを食べたらすぐに吐かせるべき」という情報もありますが、そもそも催吐処置は医療行為であり素人が簡単に真似できるものではありません。

オキシドールや塩水などを用いた民間的な催吐方法を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、知識不足による間違った処置は犬の体にさらなる害を及ぼす可能性があります。

自力でなんとかしようとせず、獣医師に診せることを最優先で考えましょう。

食べてからの症状や詳細を覚えておく

動物病院を受診する際、たまねぎを食べたときの状況を細かく伝えると診察がスムーズになります。

「いつ・何を・どのくらい食べたか」や「食べた後の細かな変化」をメモしておきましょう。

誤食後に飲んだ水の量や運動量も伝えると診察のサポートになります。

犬がたまねぎを食べるとどうなる?

たくさんのたまねぎ

たまねぎ中毒の症状

以下に、犬がたまねぎを食べてしまったときに起こり得る症状を挙げます。

・元気がなくなる
・発熱する
・血尿・血便が出る
・下痢をする
・嘔吐する
・フラフラして歩けない
・粘膜が黄色く見える
・歯茎や目の結膜が白くなる
・呼吸や脈が速くなる
・脈が弱くなる
・呼吸困難になる
・吐血する
・意識が朦朧とする・意識がなくなる

たまねぎ中毒では複数の症状が同時に現れることが多く、食べてすぐ症状が現れない場合でも早い受診が求められます。

食べてから症状が出るまでの時間

たまねぎを食べてから症状が出るまでの時間は、早い場合では30分程度です。

しかし個体差があり、遅い場合では24時間以上経過してから現れることもあります。

「食べたけれど大丈夫そうだから」と楽観視せずに、誤食の時間をメモした上で動物病院を受診しましょう。

病院で行われる治療法

イラストの犬を診察する獣医師

催吐処置

現在の医療では、犬の生命を脅かすたまねぎ中毒において決定的な治療方法はありません。

動物病院ではまず食べたものを吐き出させる催吐処置が検討されます。とくに誤食からあまり時間が経過していない場合は有用な方法です。

動物病院で利用される催吐処置は、主に「オキシドールを飲ませる」か「止血剤(トラネキサム酸)を静脈内注射する」の2種類です。

胃洗浄・下剤

誤食からすでに2~4時間程度が経過している場合は緊急性が高いと判断され、胃洗浄が行われます。

胃洗浄とは口や鼻からチューブを差し、胃の中に生理食塩水を流し込む方法です。洗浄液が透明になるまで15~20回ほど注入と吐き出しを繰り返します。

活性炭をはじめとする吸着剤や下剤を用い、体内からの除去を検討することもあります。

赤血球の破壊をとめる処置

たまねぎ中毒の性質上、ビタミンCやEなどの抗酸化剤やステロイド剤を用いて赤血球の破壊を食い止める方法が選ばれることもあります。

対症療法

決定的な治療法がないたまねぎ中毒では、症状に応じた治療を行う対症療法が取られます。

例えば貧血の症状には輸血、内臓の症状には点滴やビタミン剤の投与のように、現れた症状への治療を行い体力の回復を図ります。

犬にとってのたまねぎの危険性

暗い部屋の犬

ここでは、たまねぎがなぜ犬の体に悪影響を及ぼすのかを解説します。

「有機チオ硫酸化物」が赤血球に悪影響を及ぼす

犬の体内では、人間と同じように血液内で赤血球が働いています。なかでも赤血球に含まれるヘモグロビンには、体全体に酸素を運ぶ重要な役割があります。

しかしたまねぎに含まれている「有機チオ硫酸化物」という成分はヘモグロビンを酸化させてメトヘモグロビンという物質に変え、酸素を運ぶ働きを失わせてしまうのです。

さらにメトヘモグロビンが増えることで、赤血球は新たに「ハインツ小体」という物質を形成します。ハインツ小体は赤血球を破壊し、貧血や血尿、急性腎不全を引き起こします。

「硫化アリル」が変化して赤血球を破壊

たまねぎを切ると、目に染みて涙が出てきますよね。痛みや涙の原因は「硫化アリル」という辛味成分です。硫化アリルは空気に触れると「アリシン」という物質に変化します。

アリシンを摂取すると体内で分解され、「二硫化アリル」を形成します。人間は二硫化アリルを消化・分解する酵素を持っているので問題ありませんが、犬は消化酵素を持っていません。そのため二硫化アリルが体内で作用して食中毒を起こし、赤血球が破壊されてしまうのです。

「アリシン」が腸内環境を悪化

アリシン自体にも強い殺菌作用があります。

胃壁を傷つけたり腸内細菌を死滅させたりすることで、さらなる悪影響を及ぼします。

たまねぎはどう調理しても食べられない!

たまねぎの皮を剥く女性

たまねぎの実

たまねぎの実は有機チオ硫酸化物や硫化アリルを多く含んでいるため、犬に与えてはいけません。

たまねぎの皮

たまねぎの皮自体には中毒物質は含まれていませんが、丸ごと齧った場合は実も一緒に食べていると考えられます。犬が届くところに保管しないようにしましょう。

また皮の内側に実の成分が付着していることも考えられるため、皮のみを食べた場合でも動物病院の受診が望まれます。

たまねぎの葉

たまねぎの種類によっては葉ごと販売されているものもあります。

たまねぎの葉には実と同様の成分が含まれているため、与えてはいけません。

とくに「葉たまねぎ」はたまねぎの根が膨らむ前に収穫したものであるため、実質的に実と同じ成分が含まれています。

生のたまねぎ

生のたまねぎは、どんな切り方をしてもすり下ろしても、有機チオ硫酸化物をはじめとした中毒物質を含みます。

加熱したたまねぎ

重篤な食中毒を引き起こす二硫化アリルは、加熱しても変性しません。そのため、炒めて辛みを抜いたたまねぎも与えてはいけません。

たまねぎの匂い

たまねぎのツンとする匂いの正体は「syn-プロパンチアール-S-オキシド」という成分です。犬はこの匂いを嗅ぐだけで体調不良が引き起こされる可能性があります。

たまねぎを調理する際は換気扇を点けたり窓を開けたりして、匂いが籠らないように心がけましょう。

犬のたまねぎの致死量は?

たっぷりのドッグフード

犬のたまねぎの致死量は、個体差はありますが一般的に「体重1kgに対して約20g以上」といわれています。

20gは中サイズのたまねぎの8分の1弱程度の量であり、少量でも犬に大きな影響を与えることがわかります。

すべての犬が平等にたまねぎ成分への免疫を持っているわけではなく、それぞれが持つ遺伝子によって中毒になりやすいか・なりづらいかが決まっています。

なかでも柴犬や秋田犬などの日本犬は比較的たまねぎ中毒にかかりやすい犬種です。

赤血球の中にあるグルタチオンは、たまねぎの有機チオ硫酸化物に反応して酸化しやすいという性質があります。日本犬は持っているグルタチオンの量が多く、酸化の影響を受けやすい=中毒症状が起こりやすいのです。

誤食防止のために飼い主さんができること

犬を抱き顔を寄せる女性

基本は「落とさないように注意する」が鉄則

犬の誤食防止のためにまずできることは、料理中や食事中にたまねぎを落とさないように注意することです。

「そんなことは当たり前」と思うかもしれませんが、誤食防止のためには犬に該当物質を触れさせないのが最も確実な方法です。

とくに薄切りやみじん切りのように細かく切る場合は、気を付けていても小さな欠片がまな板からこぼれやすいものです。包丁使いに慣れている人でも、たまねぎを調理する際は犬を近くに寄らせないように対策しましょう。

たまねぎを調理した後はすぐに洗う

たまねぎを調理した後は、調理器具をすぐに洗うように心がけてください。

たまねぎに触れた手も同様です。手に匂いが残っているということは、たまねぎの成分が手に付着したままだということです。犬が匂いのついた手を舐めると、わずかながらも中毒症状を起こす可能性があります。

またたまねぎを切った際に細かくあふれる汁には、二硫化アリルが含まれています。できる限り防止するためにも調理時はエプロンを利用し、終わったらすぐに洗いましょう。

素材以外にも要注意

たまねぎは素材自体はもちろん、加工品にも中毒物質が含まれています。例えばハンバーグやカレーライス、チャーハン、お味噌汁など、食卓に並びやすい身近な料理でも要注意です。肉じゃがやポトフなど、煮物を作った際の汁にも有毒成分が含まれます。

また以下のようなたまねぎ以外の「ネギの仲間」にも同じように中毒症状を引き起こす可能性があります。

・ニラ
・にんにく
・らっきょう
・長ねぎ
・わけぎ
・あさつき

以上のネギ科の食材にも、たまねぎと同様に注意を払って取り扱ってくださいね。

まとめ

カットされたたまねぎとにんにく

今回はたまねぎが犬に与える影響や対処法、飼い主さんが気を付けるべきポイントなどをご紹介しました。

たまねぎは和食から洋食まで幅広い料理に使われるオーソドックスな食材です。調理法も多く、毎日のように食卓に並べる人も多いでしょう。

しかし犬にとっては、ほんのわずかな量でも重篤な症状を引き起こす中毒物質です。普段から危機意識を高めつつ、もしもの場合もすぐに対応できるようにあらかじめ最寄りの動物病院を調べておきましょう。

公開日:2020/10/14  最終更新日:2022/8/23

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フリーライター/ボーカリスト。元・ペットショップのお姉さん。 大手ペット販売会社にて、販売頭数・ペット保険取得数にて表彰経験有り。得意ジャンルは、ペット/恋...

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