犬と猫を一緒に飼いたい!犬と猫を同居させるために飼い主がすべきことは?

仲のいい犬と猫

犬を飼っているけれど、猫も飼いたい。

猫を飼っているけれど、犬も飼いたい。

でも犬と猫って一緒に飼うには何か特別なことをしないといけないのかな?

そんな疑問を抱いている方、けっこういらっしゃると思います。

今回は、犬と猫を一緒に飼うために必要な知識や準備や注意点などを、秋田犬1頭、柴犬1匹、猫3匹(うち1匹は保護したばかりの子猫)と絶賛同居中の動物ライターの私、Tenが、経験談も含めてまとめました。

念願の犬と猫との同居生活を始めるためにも、ぜひ参考にしてみてください!

まずは犬猫それぞれの習性・性質の違いを知る

飼い主に忠実な犬。人に媚びることなく自由気ままな猫。

こんな風に比較されることが多い犬と猫ですが、これは実に言い得て妙。それぞれの特徴を的確に描写しています。

犬も猫も、長いあいだ人と生活を共にしてきたペットですが、まったく違う動物です。

まずは、犬と猫の習性・性質の違いを理解することが大切です。

犬の習性・性質

笑顔の柴犬

犬は群れをつくって生きてきた動物で、人と暮らすようになった今も、その当時の本能が残っています。

群れ社会で生きる動物は、絶対的な存在であるリーダーに服従するものですが、犬の飼い主への忠誠心は、この習性からきています。

犬は群れの仲間として受け入れた動物を大切にする一方、侵入者と見なした相手は、飼い主や縄張りを守るために攻撃する習性があります。

また、特に猟犬タイプの犬種は、走っている小動物を反射的に追い掛けて狩ってしまうことがあるので注意が必要です。

我が家の秋田犬の巫(みこ)と柴犬の紅(べに)も、ドッグランなどで小型犬を反射的に追い掛けることがあり、地面に吸い付くように身を低くして走る姿はまさに狩りのスタイル。万が一のことを考えて、巫と紅をドッグランに連れて行くことはやめました。

そんな我が家の犬たちも、同居している猫たちを遊びで追いかけることはあっても狩ることはなく穏やかに接しています。これは、猫たちを群れの仲間、家族として受け入れているからなのです。

また、犬はご飯のまとめ食いができるので、食事の回数は成犬で1日2回、パピーやシニア犬で3〜4回のが一般的です。

そしてなにより、犬は飼い主に甘えたり、飼い主を独占しようとする傾向が強く、それがかなわないとストレスから体調を崩したり、イタズラや吠えることで飼い主の注意を引こうとするなど、嫉妬心の強い動物でもあります。

猫の習性・性質

寝る猫

ライオンを除く猫科の動物がそうであるように、猫は群れをつくらず単独で行動してきた動物です。

群れをつくらないためリーダーを必要とせず、犬に見られるような飼い主に対する忠誠心もありません。

また、猫がひとりの時間を確保したり、飼い主や他の同居動物と距離を保とうとする傾向があるのも、単独行動をしてきた動物ならではです。

だからといってまったく人に甘えないわけではなく、気が向いたとき限定ですが、犬以上にべったりと甘えてくることもあります。

猫はプライドが高く気分屋だと言われますが、これは猫が人と暮らしていても人の指示に従うことがなく、何をするにもすべて自分で判断すること、また、独立心が強く、無理強いされたり、しつこく構われることを嫌う習性をもっているから。

さらに、犬が人に合わせて夜行性から昼行性に生活をシフトすることが多いのに対し、猫は野生の頃そのままに、真夜中に遊び始めることも多いです。

我が家の猫は黒猫の棗(なつめ)と朧(おぼろ)、キジトラの麗(うらら)の3匹。

子猫の麗はケージ暮らしですが、棗と朧はケージフリーで、わたしたちが寝ているあいだに大運動会を開催した形跡があることもしばしばです。朝起きるとテーブルの上が乱れていたり、干していた洗濯物が床に落ちていたりするので、どうやら夜中に2匹で大騒ぎをしているようです。

食事の回数については、一度に食べる量が少ない猫は一日の食事の回数が犬よりも多くなります。

ちなみに我が家の棗と朧は、フードを入れたボウルを置いたままにして空になると注ぎ足すようにしています。賛否両論ありますが、いわゆる「置きエサ」方式です。

犬と猫を同居させるには?

子犬・子猫のときに一緒に飼い始める

子犬と子猫

犬と猫の同居がいちばんうまくいくのは、子犬・子猫のときに一緒に飼い始めることです。

子犬も子猫も生後2〜3ヶ月前後の「社会化期」に、他者とのコミュニケーションの取り方をはじめ、多くのことを学びます。

この時期に同居を開始すれば、子犬も子猫もお互いを仲間、遊び相手として認識するため、仲良くなりやすいというわけです。

初顔合わせは慎重に行う

どちらが先住にしろ、いきなり犬と猫を対面させることは避けてください。

最初はお互いの姿が見えないように別々の空間に隔離するようにします。

嗅覚、聴覚に優れた犬・猫は、別々の空間にいてもお互いの匂いにを感じ、相手の存在に慣れていきます。

興奮した犬が猫を追いかけ回したり、怯えた猫が犬を攻撃したりしないよう、お互いを受け入れる状態が整うまでケージ越しに短時間の対面を繰り返すなど、時間をかけて慣らすことが大切です。

初めて対面させるときも無理はせず、先住の犬・猫のペースに任せましょう。

先住犬がいて、猫を迎える場合

犬を飼っているところに子猫を迎える方が、逆のパターンよりもうまくいくケースが多いようです。

犬は群れで生活していた頃からの習性で、新しく迎えた子猫を仲間として受け入れる大らかさがあるためと考えられます。

先住犬の存在を受け入れやすい社会化期の子猫を迎えると、同居がよりスムーズにいくでしょう。

注意しなくてはいけないのは、大きな先住犬が小さな子猫にケガをさせてしまうこと。

秋田犬の巫は体重約30kg、柴犬の紅は約14kg。一方、子猫の麗はたった1.4kg。これだけ体格差があると、麗と犬たちを手放しで遊ばせることはとてもできません。現在は麗を私たち飼い主が抱っこした状態で犬たちと遊ばせています。

また、新入りの猫に嫉妬しないように、先住犬にたっぷりの愛情を注ぐことも必要です。

先住猫がいて、犬を迎える場合

猫は警戒心が強く単独行動を好むため、特に社会化期を終えた先住猫は、新しく迎えた犬を受け入れるには時間がかかるでしょう。

犬が猫を追い回したりしないようにしつけること、猫が犬に邪魔されずにくつろいだり排泄できるように、犬が入れない空間を用意してあげる必要があります。

成犬よりも社会化期の子犬の方が、先住猫も受け入れやすいかもしれませんね。

犬と猫が同居する際に用意するもの

猫用の高い場所を用意する

キャットタワー

高いところでくつろぐのが好きな猫のために、キャットタワーやキャットウォーク、背の高い2〜3段ケージを用意しましょう。

犬と同居している猫にとっては、身体能力の高い猫だけがジャンプして上がれる場所が必須です。

登ったり降りたりすることで運動になり、猫のストレス解消にもつながります。

犬も猫も安心できる場所を用意する

キャリーに入る犬

犬のために屋根付きのケージやクレートを用意し、季節によって毛布やベッドを使って居心地のいい寝床を作ってあげましょう。

猫は前述のように高い場所を好むので、犬の手が届かないキャットタワーの頂上などに箱型の猫用ベッドなどを置くといいでしょう。

犬・猫それぞれに、安心してくつろげる場所を用意してあげてください。

犬猫それぞれのトイレを用意する

一般的に犬はトイレシートを、猫は猫用トイレ専用の猫砂を使用します。

犬はトイレシートに排泄するようにトイレトレーニングが必要ですが、猫はトレーニングをしなくても猫砂を入れた猫用トイレの場所を教えるだけで覚える場合がほとんどです。

それぞれ落ち着いて排泄できるように、トイレの設置場所を考えてあげましょう。

犬と猫の同居で気を付けることは?

できるだけ広い家で同居させる

犬と猫を一緒に飼う場合、例えばワンルームマンションなどでは犬と猫が常に同じ空間にいることになり、単独でいることを好む猫に大変なストレスがかかってしまいます。

犬と猫を一緒に飼うのであれば、できるだけ広くかつ部屋数の多い家で飼うようにしましょう。

犬には犬用、猫には猫用フードを与える

餌を食べる犬と猫

犬と猫はそれぞれ必要とする栄養素が違うため、ドッグフードとキャットフードは成分が異なります。

犬にはドッグフード、猫にはキャットフードを与えるようにします。

お互いのご飯を食べてしまわないように、別々の場所で食べさせるといった工夫も必要です。

猫に置きエサ方式でご飯を与えている場合は、犬の届かない高い場所に置くようにしましょう。

犬も猫もオスは去勢手術をしておく

去勢手術をしていないオスは、犬も猫も縄張り意識が強く、攻撃的になりがちです。

去勢手術の効果は100%ではありませんが、先住犬・猫の去勢手術をしておいた方が、同居がスムーズにいくことが多いようです。

十分な運動でストレスを発散させる

犬の運動不足はストレスとなり、猫を執拗に追いかけ回したり攻撃的になったり、さまざまな問題行動を引き起こします。

毎日のお散歩を十分に、ときにはロングリードで広い場所を思い切り走らせるなど、たっぷり運動させてあげましょう。

猫は前述のキャットタワーやキャットウォークなどがあれば運動ができ、ストレス発散になります。

ケガを防ぐために爪のケアをする

猫の爪はとても鋭利です。また、猫ほど鋭利ではありませんが、犬の爪も肌に食い込むと痛いです。

お互いがケガをしないために、日頃から犬猫の爪のケアをするようにします。爪切りなどご自分では難しい場合は、動物病院やトリミングサロンにお願いするといいでしょう。

また、猫は特有の爪とぎ行動をするので、専用の爪とぎアイテムを用意して思い切り爪をとげるようにしてあげてください。

犬が猫のうんちを食べないように配慮する

トイレから出てくる猫

実際に我が家で起きたことですが、犬は猫のうんちを食べてしまうことがあります。キャットフードの美味しそうな匂いがするのでしょうか…?

猫用のトイレはフタ付きの深型猫トイレにしたり、犬の入れない場所に置くなどの対策をしましょう。

犬と猫が喧嘩してしまうときは?

犬と猫の同居がどうしてもうまくいかない、しょっちゅう喧嘩する……そんなときは思い切って、犬と猫をいったん隔離してしまいましょう。

別々の部屋で生活させる、それができない場合はそれぞれにケージを用意し、ケージから出す時間をずらすなど、犬と猫が直接顔を合わせないように対策をしてください。

まとめ

我が家の白秋田犬の巫と黒猫の朧
■我が家の白秋田犬の巫と黒猫の朧

我が家はかれこれ30年近く犬猫同居生活を送っています。

先住猫に攻撃された子犬が血を流す事件も経験しましたが、そのときは半年ほどかけて仲良しの一歩手前までこぎつけました。

それぞれの習性や性質、個々の犬猫の性格を理解して、同じ空間でストレスなく暮らせるようにしてあげたいですね。

犬と猫が仲良くなってくれたら、それが最高です(笑)