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クリスマスといえば骨付きチキン!愛犬に鳥の骨を与えても大丈夫?

犬と骨付きチキン

夏休み、お祭り、正月と並んで、なぜかワクワクしてしまうマジックワードの1つがクリスマス。

さらに愛犬と一緒に過ごすイベント行事となれば楽しさ倍増です。

ただし、楽しいイベント行事の裏にキケンあり!?

今回はクリスマスの定番「骨付きチキン」を愛犬に与えても大丈夫かどうかについてお話します。

特に食いしん坊の愛犬がいるご家庭はこの記事をチェックして、楽しいクリスマスをお過ごしください。

私が動物看護師をしていた際の来院事例も最後にご紹介します。

鳥の骨は犬に与えても大丈夫!

ローストチキンと犬

いきなり結論ですが、安心してください!鳥の骨は与えても大丈夫です!

何も知らずに与えてしまった方、盗み食いされてしまったかも!?と気にされている方はまずは落ち着いてくださいね。

鳥肉は高タンパク低脂肪の優秀な食材であることはみなさんご存知だと思いますが、鳥の「骨」となると様々な意見があるため、犬に与えて大丈夫なのかどうか迷う方もいると思います。

何が良くて何が悪いのかを知って、不安を取り除きましょう。

鳥の骨を与えてもよい理由

鳥の骨

犬に鳥の骨を与えても大丈夫な理由は2つあります。

骨の成分はミネラルとタンパク質

1つ目の理由は、骨の主な成分はカルシウムとコラーゲンだからです。

カルシウムは犬にも人にも必ず必要なミネラルですし、コラーゲンは体を形成するタンパク質の一種です。

まったく有害なものではありません。

犬の胃酸は骨をも溶かす

2つ目の理由は、犬は鳥の骨を胃で消化できるということです。

犬の胃酸は強酸性で、人の胃酸では消化できないものも溶かして吸収します。

過剰な量でなければ、数時間で骨は消化されますので心配は不要です。

鳥の骨を与える際の注意点

ローストチキン

では、どこかで耳にしたことがある「犬に鳥の骨を与えてはいけない」という情報は何なのでしょうか?

それは与える骨の形状、量、調理法などに注意点があるためです。

当然ですが、どんな食材でも適した調理法や摂取する量を大きく間違えれば身体に悪い影響を及ぼします。

素人が捌いたフグを食べるなんてできませんよね?

そのことを踏まえて、鳥の骨を与える際には以下の3点を確認しましょう。

鳥の骨の形や大きさは適切か

丸呑みできてしまう大きさ、形状のものは避けましょう。

細かく砕くか、犬自身が噛み砕かないと食べられない大きさのものがよいです。

鳥の骨をもらったことによる興奮状態で丸ごと飲み込んでしまうケースがありますので、飼い主が骨を手で持ち、飲み込まないようにするのもよいでしょう。

鳥の骨の量は適切か

初めて鳥の骨を与える場合は、少量から始めてください。

いくら与えても大丈夫とはいえ、食べたことによっておなかを壊したりする子は必ずいます。

まずは少量から始めて、翌日の便に問題ないか、元気や食欲はいつもと変わらないかの様子をみてあげてください。

そして、鳥の骨はあくまでおやつ、コミュニケーションツールといった認識を持つようにしましょう。

主食はドッグフードだということを忘れないようにしてくださいね。

鳥の骨は加熱処理がおすすめ

「生食」と「加熱処理」についてですが、どちらにもデメリットがあります。

まずはそれぞれの注意点をお伝えします。

生食 食中毒の危険があります。与える場合には衛生管理に注意しましょう。
加熱処理 砕けた時に生の骨と比べて鋭利な形状になりやすい特徴があり、食道や消化管を傷つける危険があります。

実際に鳥の骨を与えている方は、どちらのパターンもいらっしゃいますので、一概にどちらがダメというのは難しいと思います。

ですが、どちらがよいのかと聞かれれば私は加熱処理したものを与えることをおすすめします。

理由としては、「生食」でも「加熱処理」でも骨により消化器系等を傷つける、もしくは詰まってしまう危険性がありますが、「生食」ですと更に食中毒の危険も加わるからです。

不安要素を少しでも減らすため、加熱処理したものを与えることをおすすめします。

鳥の骨を与えるメリットとデメリット

ローストチキンと犬

ところでなぜ鳥の骨を与えたがる飼い主さんがいるのでしょうか?

それはもちろんメリット、つまり犬にとってよい点があるからです。

鳥の骨を与えるメリット

何より愛犬が喜ぶ!

これに尽きます。

毛艶や皮膚の状態が良くなったなどの意見もありますが、1つの例として捉えておきましょう。

それと、補助的な役割として歯磨き効果があります。犬の歯磨きは難易度MAXです!少しでも健康な歯でいてほしいという願いの手助けになると思います。

鳥の骨を与えるデメリット

与える際の注意点にあるように、食中毒や消化器系を傷つける危険性があります。

この危険性をどう捉えるかは飼い主さん次第になりますが、過剰に怖がる必要もありません。

「正しく恐れる」といった言葉があるように、鳥の骨を食べても大丈夫なんだという理解は必要です。

鳥の骨を与えた後に起こりうる症状と対処法

チワワ

鳥の骨は与えても大丈夫だということは分かっていただけたと思いますが、与えた後の愛犬の様子を観察することは重要です。

特に初めて与えた方や、盗み食いをされてしまった場合には注意深く観察してください。

まずは様子を伺う

これはとても大切です。

あわてず騒がず様子を見てください。

食べた後いつもの様子と変わらないのに、あわてて動物病院に電話する方がいますが、病院としては様子をみてくださいとしか言いようがありません……。

まずは愛犬の様子を伺い、苦しそうな素振りがないか、翌日以降の便の状態や食欲はいつもと変わらないかなど、変化に注目してください。

要注意な症状

食べた直後に現れる、以下のような明らかにおかしな様子は危険信号です。

・吐き出そうとする素振り
・のどに何かが詰まったかのような様子
・嘔吐を繰り返す

また翌日以降に現れる以下の症状も危険です。

・便が真っ黒、血液がついている、下痢
・食欲や元気がない

これらの症状があれば急いで動物病院へ連れていきましょう。

特に骨を丸呑みしたことによりのどに詰まってしまった様子があれば、夜間であっても対応してくれる病院につれて行ってください。

このよな非常事態に備えて、夜間対応病院を最低2件は把握しておいてください。

病院に連れて行く

動物病院に連れいくことになった場合、獣医師にしっかりと伝えるべき情報を整理しておきましょう。

・食べた鳥の骨の形・量・加熱処理済みか否か
・どんな症状があるのか
・症状はいつからあるのか
・その他、鳥の骨以外にも原因となりそうな事柄があれば伝える

獣医師にとって飼い主さんから得られる情報は非常に重要です。

それは犬が自分で自分の状態を説明できないからです。

獣医師は飼い主さんから得られる情報と犬を診察することによって直接得られる情報の両面から、診断と治療を進めていきます。

飼い主さんは自宅における看護師そのものなんだということを心掛けてください。

実際にあったクリスマスチキン事件

クリスマスチキン

最後に私の動物看護師時代、実際にあった来院事例を紹介します。

クリスマスが終わり世間が年末へと動く中、1人の飼い主さんが来院されました。

連れてこられたのは、いつもは病院だろうとお構いなしに愛想を振りまく、我らのオアシス的存在MIX犬のマックス(仮名)。

が、その日は全く元気がない……診察室に通されたマックスは驚くほど静か……。

飼い主「今朝、ひどい下痢をしてから全く元気がないんです」
獣医師「何か思いあたることありますか?」
飼い主「昨日、クリスマスチキンをあげたんですけど…」

聞くと、人間用の骨付きローストチキン(照り焼き)を1本丸ごとを与えたということでした。

さぞ美味しく召し上がったんでしょうが、仕方ありません。治療開始です。

幸い、下痢便は真っ黒だったり血が混じっていたりしたわけでもなく、嘔吐などの症状も無かったので、下痢止めと抗生剤の注射と1週間分の薬を処方されて帰っていきました。

食べたチキンの量と、人間用のチキンということで塩分や油分が多かったことが下痢の原因だったのでしょう。

その後来院したマックスは、本来の愛嬌を振りまく元気な姿に戻っていました。

この何気ない来院事例ですが、もし飼い主があなただったら何に注意すべきだったと思いますか?

・犬に与えるローストチキンの量
・犬が骨を食べている様子をしっかり見ていたか(きちんと噛み砕いて食べていたか)

この2つだけ、注意しておけば充分です。骨付きチキンを与えること自体は全く問題ありません。

適切な量を与えて、様子を見るだけで大きな事故を未然に防ぐ確率はグッと上がります。

まとめ

基本的には、骨付きチキンを生で与えても加熱調理したものを与えても大丈夫です。

ただし、与えすぎない、加熱処理したほうがより安心、与えた後は様子を見る、といったことを覚えておいてくださいね。