猫の宿命!?猫の腎不全〜症状・治療法は? 予防できるの?

点滴をする猫

猫の死因で、ガンと並んで多い病気が「腎不全」です。

腎不全には「急性」と「慢性」がありますが、猫に多いのは「慢性腎不全」で、特に高齢になると発生率が急増します。

現在11歳の我が家のシニア猫・朧(おぼろ)も、10歳のときに慢性腎不全の初期段階と診断され、毎日の投薬と3週間に一度の点滴、食事療法(腎臓療法食)を行っています。

慢性腎不全の場合、衰えてしまった腎臓の機能を元に戻すことはできません。進行を遅らせることしかできないのです。

そんな怖い病気「腎不全」から猫を守るためにも、この病気の症状や治療法、予防法について知っておきましょう。

猫の腎不全ってどんな病気?

診察される猫

猫の腎不全のうち「急性腎不全」は、急激に腎機能が低下して亡くなってしまうこともある危険な病気ですが、適切な治療を施すことによって回復するケースもあります。

一方、ゆっくりと進行する「慢性腎不全」の場合、症状が現れたときには病気がかなり進んでしまっていることがほとんどです。

冒頭でも書きましたが、猫に多いのは後者の「慢性腎不全」です。

猫の宿命?

現在の猫の祖先は砂漠で暮らす動物でした。

そのため、飲み水が少なくても脱水を起こさず生きのびられるように、腎臓の機能が発達していました。

腎臓が尿を濃縮し、体外に排出される水分の量を抑えるのです。

この体の仕組みは腎臓にかかる負担が大きく、ほとんどの猫が高齢になると腎機能が低下しまううえに、一度ダメージを受けた腎臓が回復することはありません。

猫を飼うことは、猫の慢性腎不全と向き合うこと……

慢性腎不全が猫にとって「宿命」といわれてきたのは、このような理由からなのです。

腎臓の役割

腎臓のような形の木

腎臓は、おおまかに以下のような役割を担っています。

1. 体の水分量を保つ
2. 老廃物や毒素を体から尿として排出する
3. 血圧を調整する
4. 造血ホルモンを分泌し赤血球をつくる

腎臓が十分に役割を果たせなくなる状態が「腎不全」で、その状態が長期間つづくと「慢性腎不全」と診断されます。

4つのステージ

猫の慢性腎不全は、以下の4つのステージに分類されます。

ステージ1

症状はまったくなく、血液検査にも異常はありませんが、尿検査をすると異常が見つかる場合があります。

腎機能は1/3(33%)程度に低下しています。

ステージ2

慢性腎不全で最初に見られる症状「多飲多尿」が見られるようになります。

ステージ2では、多くの猫が食欲も元気もあり、飼い主が異常に気付かないケースもありますが、腎機能は1/4(25%)程度まで低下しています。

ステージ3

腎機能が10%以下まで低下してしまうため、老廃物や有害物質を排出できなくなり、尿毒症が進行します。

血液中の尿毒素が高濃度になり、口内炎や胃炎になりやすくなります。

さらに、食欲の低下や嘔吐などの症状から、飼い主も異常に気付きはじめます。

また造血ホルモン(エリスロポエチン)の分泌が減り、貧血を起こすこともあります。

ステージ4

尿毒症がさらに進行し、腎機能も5%以下まで低下してしまいます。

積極的な治療をしなければ、生命を維持することが困難な状態です。

慢性腎不全 末期の余命は?

猫

猫の慢性腎不全は、飼い主が症状に気付いたときにはステージ3またはステージ4、つまり末期にさしかかっているケースが多い病気です。

末期になると、わずか数日で命を落としてしまう子もいれば、数ヶ月生きられる子もいたりと、それぞれの猫の状態にもよりますが、余命は数日から半年以内といわれています。

また、末期を迎えた愛猫が苦しむ姿を見た飼い主の多くは、一度ならず「楽にしてあげたい」と感じるようです。

それほど慢性腎不全の末期の症状は苦痛が激しいのです。

猫の腎不全の症状

診察を受ける猫

急性腎不全

急性腎不全は進行がとても早く、数時間〜数日のあいだに急激に腎機能が低下します。

非常に危険な病気ですが、慢性腎不全とは異なり、早い段階で治療を行うことによって、腎機能が回復する見込みがあります。

以下のような症状が見られたら、様子を見たりしないで、早急に病院へ行くようにしましょう。

・食欲、元気がなくなる
・水を飲む量が減る
・尿の量が減る、出なくなる
・吐く
・体温の低下
・けいれん

慢性腎不全

シニア猫の「宿命」ともいわれる慢性腎不全は、早期発見が難しい病気です。

水をたくさん飲む、尿の量が増えるといった症状が出たら、慢性腎不全の可能性がありますので、早めに病院に行くようにしましょう。

・多飲多尿
・体重減少
・食欲低下
・活動性の低下
・頻繁に吐く
・よだれ
・口臭
・便秘
・毛づやが悪くなる

猫の腎不全の治療法

注射される猫

ここでは、慢性腎不全の治療法をご紹介します。

慢性腎不全にかかってしまうと、腎臓を元の健康な状態に回復させることはできません。

病気の進行を遅らせ、嘔吐をはじめとするそのときどきの症状をやわらげる治療が中心になります。

食事療法

猫の慢性腎不全の主な治療は食事療法です。

初期の段階から腎臓への負担が少ない腎臓療法食(低タンパク・低リン)に切り替えることで、残された腎機能を長持ちさせることが可能になります。

投薬

慢性腎不全が進行するにつれて様々な症状が出てくるので、それぞれの症状を緩和するための以下のような投薬治療を行います。

・吐き気止め
・腎臓の血管を広げる薬(ACE阻害薬)
・リンの吸収を抑えるリン吸着剤
・血圧降下剤
・造血ホルモン剤

点滴

慢性腎臓病では脱水を防ぐために、水分をしっかり摂取することがとても重要です。

病気が進行すると、口からの水分摂取だけでは脱水を起こしてしまうことがあるので、その場合は病院で皮下点滴や静脈点滴を行う必要があります。

猫の腎不全の予防法

慢性腎不全を確実に予防する方法は、残念ながらありません。

早期発見がなによりも重要で、発見が早ければそれだけ進行を遅らせることのできる期間が長くなります。

その他、食事に配慮することと、水を飲む量を増やすことも非常に重要です。

定期的な健康診断

獣医師と猫

シニア猫の大半がかかっているといわれる慢性腎不全。

年齢に関わらず若い猫にも発症しますが、やはり加齢とともに発症率が高まる傾向にあります。

シニア期に入ったら、定期的な健康診断(血液検査・尿検査)を年に2回行うなど、少しでも早く病気を発見できるように努めましょう。

食事に配慮

塩分の多い食事は腎臓に負担がかかるので与えないようにし、猫が必要とする栄養素をカバーした総合栄養食を与えましょう。

また、子猫・若猫・シニア猫など、それぞれの猫のライフステージに合った栄養バランスのフードを与えるようにします。

そして腎機能低下のきざしが見えたら、低タンパク・低リンの腎臓療法食に切り替えて早期治療に努めましょう。

水を飲む量を増やす

水を飲む猫

砂漠で暮らしていた動物を祖先にもつ猫は、水をあまり積極的に飲みませんが、腎臓にかかる負担をできるだけ軽くするためには、水を飲む量を増やす工夫が必要です。

猫はキレイ好きな動物なので、いつも新鮮でキレイな水が飲めるようにします。

水だけでなく容器も清潔に保つようにしてください。

また、飼育頭数に関わらず、水飲み場を複数箇所に設置します。

食事をする場所の近くと、寝床の近くには、必ず水を置くようにしましょう。

ちなみに、トイレの近くに置いた水は、猫はあまり好まないようです。

水を入れる容器も、猫の好みの素材やカタチのものを見つけてあげてください。

蛇口から流れ出てくる水が好きな子には、水が循環するファウンテンタイプの給水器を使用してみるのがいいでしょう。

水の温度も好みの分かれるところで、常温の水をあまり飲まない子が、少し温めると飲んでくれたりします。

鶏肉や魚などの茹で汁(塩分など調味料の入っていないもの)を与えると、喜んで飲んでくれる場合もあります。

ミネラルウォーターを好む子の場合は、ミネラルが多く含まれる硬水ではなく、必ず軟水を与えるようにしてください。

猫に十分な水を飲ませることは、なかなか難しいですが、慢性腎不全を防ぐにはとても重要なことなので、いろいろと試してみてください。

また、愛猫の好みや飼育環境にもよりますが、水分を多く含むウェットフードを与えることで、水分摂取量を補うこともできます。

まとめ

猫

東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターの宮崎徹教授らが、猫の腎臓病発症の原因を解明し、治療法を開発したというニュースを目にした方もいるのではないでしょうか。

一時はコロナ禍によって研究が中断しましたが、一般の愛猫家たちから集まった多額の寄付金と国内の製薬会社からの支援によって、研究を再開したそうです。

この研究によって猫の腎臓治療薬が完成すれば、不治の病だった腎不全が治るようになり、猫の寿命が現在の2倍、最長30年にもなるといわれています。

猫たちを「慢性腎不全」という宿命から解き放ってくれる薬……夢のようなお話ですね。

7月に宮崎徹教授がサイトに発表したメッセージを読むと、新薬が世に出るまでにはまだ時間がかかりそうですが、将来この病気に苦しめられる猫が少しでも減ることを願わずにはいられません。

Ten

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島根県の中海という汽水湖に浮かぶ島に住んでいます。 2014年に東京から犬猫ともども移住し、田舎暮らしを満喫中です。 現在は夫とともに白秋田の女の子、白柴の...

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