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世界には犬に税金がかかる国がある!日本で導入される可能性もある?

犬とお金

犬に税金がかかる国があることを知っていますか?

世界的に見ても、それほどたくさんの国で犬税が導入されているわけではありません。

しかし、犬税を活用し、犬にも人にも心地よい環境作りに成功している国もあるようです。

そこで今回は、犬にかけられる税金について深掘りします。

「今後日本でも犬税が導入されるの?」といった疑問にも迫ります。

犬税の観点から、犬に対するさまざまな考え方に踏み込んでみましょう。

はじめて犬に税金がかけられたのはイギリス

イギリス

犬税を世界で最初に導入したのはイギリスです。

犬税が導入されたのは1796年。

その当時、イギリスでは犬が貴族たちのステータスシンボルとなっていました。

経済的に裕福な貴族たちが、ペットや狩猟用として犬を飼育していたことから「ぜいたく税」として導入されたのが犬税でした。

その後一般庶民の間にも犬の飼育が広がったものの、犬税は1990年まで続いたそうです。

現在どんな国で犬に税金がかかっているの?

現在犬税を導入している国には、ドイツやオーストラリア、オランダ、フィンランド、スイス、チェコ、中国などがあります。

ここではオランダと中国の犬税について紹介します。

オランダの場合

オランダ

オランダの犬税は、犬に関連した事柄に使うための目的税として徴収されています。

目的の一例として、犬の保護施設の運営や保護活動、犬と飼い主さんのためのインフラ整備などがあるようです。

オランダの犬税の金額は自治体によって異なりますが、日本円で5,000円程度の自治体が多いのだとか。

中には、犬1頭につき1~2万円の税金をかけている自治体もあるそうです。

中国の場合

中国

中国の場合、厳密にいうと税制度ではなく「登録料」という名目でお金が徴収されています。

その背景には、経済成長によるペットブームがあるようです。

中国経済が大きく成長したことで、犬を飼育する人が増えました。

その結果、悲しいことに捨て犬が急増しているそうです。

捨て犬対策として、中国では犬を飼育するにあたり、所定のお金を払うことが義務づけられました。

その金額は地域によってさまざまです。

たとえば首都の北京では、犬の飼育初年度に日本円で約14,000円、2年目以降は約7,000円を支払います。

経済特区のある広州の登録料は、初年度約14万円、2年目以降は約8万円と非常に高額です。

しかもこの登録料は犬1頭あたりの金額ですので、飼い主さんに大きな負担となることがわかるでしょう。

実際には登録料を免れようと、隠れて犬を飼育しているケースもあるようです。

ペット先進国ドイツの犬の税金制度

ドイツ

ペットに対する理解が進んでおり、ペット先進国といわれているドイツ。

そんなドイツでは、犬税が住民に受け入れられているだけでなく、うまく活用されているようです。

ドイツの犬税とは

ドイツで犬に税金がかけられたのは1810年。

イギリスの犬税を模倣して導入されました。

当時ドイツでは、猫や馬、ピアノ、召使いなどあらゆるものが「ぜいたく品」として課税対象となっており、犬も例外ではありませんでした。

その後課税対象は減ったものの、犬税は現在でも残っています。

現在、ドイツの犬税は「あらゆるものにかかる税金のひとつ」といった認識で住民に受け入れられているようです。

ドイツの犬の税金額

ドイツの犬税は地方自治体税ですので、自治体によって税金額が異なります。

犬1頭にかかるおおよその税金額は、日本円で約1~2万円。年に一度徴収されます。

多頭飼いしている場合には、1頭目より2頭目、2頭目より3頭目の税率が高くなる仕組みを採用しています。

また、犬税はすべての犬を対象に課税されますが、盲導犬や介助犬、牧羊犬といった使役犬は課税対象ではありません。

その一方で、闘犬に指定されている犬種には、通常の数倍といった税額がかけられています。

さらにドイツでは、檻の中で飼育する場合は、その頭数に応じて課税されます。

犬のストレスを減らすために、檻での飼育を減らそうという考えから、そのような仕組みが採用されているようです。

ドイツにおける犬税のメリット

ドイツにおける犬税のメリットには、以下のようなものがあります。

・街全体の衛生や治安を維持する
・安易な多頭飼いを防ぐ
・ものめずらしさから飼育をはじめるといった無責任な行動を防ぐ
・犬の保護につながる

ドイツでは、犬と飼い主さんに関わることだけでなく、犬によって汚れた公道や公園の清掃費用としても犬税を活用しています。

犬が増えることで懸念される衛生面や治安面の悪化を、犬税の活用によって防いでいるのです。

また、犬税の税額や税率を調整することで、安易な多頭飼いや無責任な行動を防ぐ効果も期待しています。

このような仕組みがあることで、ドイツではむやみな繁殖や殺処分を防げているのだそうですよ。

ドイツで犬税が受け入れられる背景

ドイツでは、人間と同じように犬を大切に考えています。

そのため犬税を受け入れやすいのかもしれません。

ドイツでの犬の扱いを紹介しましょう。

・キャリーケースなしで、地下鉄やバスに一緒に乗れる
・地下鉄やバスに犬が乗るときは、子ども料金が必要
・犬と一緒に入れるレストランも多い
・街中に犬用トイレがある
・街中に犬のフンを取るための紙が用意され、犬のフンを捨てるゴミ箱が設置されている
・ヨーロッパを旅行するときには、犬にもパスポートが必要

どれも日本では考えられないことばかりですよね。

ドイツでは、犬が人間と同じように行動することが受け入れられているようです。

ドイツの人たちが犬を大切に考えていることは、法律からも伺えます。

ドイツの法律では、犬の飼育についての事柄が細かく定められているのです。

犬の飼育に関してドイツの法律で定められていることには、以下のようなものがあります。

・檻の広さ(檻に入れて犬を飼育する場合)
・散歩時に使うリードの長さ
・6時間以上室内に閉じ込めてはいけないこと
・外気温が21℃を超えるときには、車内に犬を放置してはならないこと

散歩時のリードの長さも法律で定められているなんて、驚きませんか?

法律で決められていることは、どれも犬が安全にストレスなく暮らせるためのもの。

犬が安心して暮らせる環境が法的にも整っており、それが人々に受け入れられているからこそ、ドイツは犬税を維持できているのではないでしょうか。

日本も昔は犬の税金があった

江戸時代の街並み

日本でもかつて犬税を導入していたことがあるようです。

時代別に犬税の様子が異なりますので、それぞれ紹介します。

江戸時代

最初に日本で犬税が導入されたのは江戸時代。

江戸幕府5代将軍の徳川綱吉が出した「生類憐み(しょうるいあわれみ)の令」によって、野犬が急増したことがきっかけです。

8万頭にものぼる膨大な数の野犬を収容するための施設を建設するには、莫大なお金がかかります。

また運営費用も必要だったことから、地域の住民たちに税金を課していました。

飼い主さんが負担する税金とは違った仕組みですが、かつての日本にはこういった犬に関する税金があったようです。

明治時代~昭和時代

明治から昭和にかけての時代には、日本でも犬の飼い主さんが負担する仕組みの犬税が導入されていました。

市町村税のひとつとして徴収されていた税金で、昭和30年代には全国で約2,700の自治体で犬税を導入していたそうです。

多くの自治体では、犬1頭につき一律の金額が決められていました。

その一方で、独自の税率で犬税を徴収していた自治体もあったようです。

京都府や群馬県では、人気の犬種「狆(ちん)」に高い税率をかけていたり、大都市をかかえる東京や大阪などでは、飼育する地域によって税額が異なっていたりしていました。

その後犬税を徴収するコストが高くなったことから徐々に廃止され、長野県東筑摩郡四賀村を最後に、日本で犬税はなくなりました。

現在の日本でも犬税導入が検討されている?

犬とお金

犬税が今後、日本で導入されることはあるのでしょうか。

最近の事例も参考に、日本で犬税導入が難しい背景に迫ります。

泉佐野市で犬税が検討されていた

2014年まで大阪府泉佐野市で、犬税の導入が議論されていたことを知っていますか。

泉佐野市は環境美化施策のひとつとして、犬のフン対策を行っています。

2006年には条例を制定し、犬のフンのポイ捨て・放置を禁止するなど、過去にも積極的に対策を講じてきました。

そんななか犬税の導入を検討し、犬税を放置されたフンの処理などに当てようと考えたのです。

実際、犬1頭につき年間2,000円の犬税導入が検討されました。

しかし登録されていない犬が多いため、平等ではないといった意見が相次ぎ、導入は見送られたとのことです。

日本で犬税が導入されない理由

「犬税がうまく活用できると、犬や飼い主さんだけでなく、犬とは関わりのない人たちにとってもよい環境が作れるのでは?」と思う人もいるでしょう。

しかし、泉佐野市の例をみても、日本で犬税を導入することは難しいようです。

日本で犬税が導入されない理由として、犬の頭数を正確に管理できていないことが挙げられます。

犬税を導入するとなると、登録されている犬のみが課税対象となってしまうでしょう。

実際には登録されていない犬が多いため、税負担が不平等となってしまうのです。

また、犬税の徴収コストが犬税の税収よりも高くなってしまうことも、導入できない理由です。

実際、昭和時代にあった犬税はこの理由で廃止されてしまいました。

さらに、日本では犬の飼育についてあいまいな部分が多いです。

ドイツのように法律で細かく定められていないため、さまざまなことが飼い主さんの判断に任されています。

法整備の甘さも、犬税の導入を難しくしている一因と言えるのではないでしょうか。

まとめ

犬を抱くロングヘアの女性

犬も人間も快適に暮らすためには、犬税として税金を徴収するのもひとつの方法なのかもしれません。

とはいえ、現在の日本で犬税の導入は難しい現状があります。

犬税を導入するためには、犬を社会全体で受け入れるといった認識が必要なのではないでしょうか。

犬も人間も同じように、安心して心地よく暮らせる世の中を実現させたいですね。