憧れの大型犬と暮らそう! 初心者にも飼いやすい大型犬は?

大型犬

「いつかは大型犬を飼いたい!」 そう思っている犬好きの方が、多いのではないでしょうか。

憧れの大型犬。でも、初心者には、飼育が難しい?運動量が多くて大変?広い家じゃないと無理?

──さて、実際はどうなのでしょうか。

私はこれまでシベリアンハスキー、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、秋田犬と、大型犬ばかり飼ってきました。現在は2代目の秋田犬と柴犬を飼っています。

そんな動物ライターの私、Tenが、初心者にも飼いやすい大型犬、大型犬を飼うにあたっての心構えや注意点をまとめました。

念願の大型犬との暮らしを検討中の方、ぜひ参考にしてみてください!

初心者にも飼いやすい!大型犬人気ランキングトップ5

大型犬というと、「賢い」「しつけがしやすい」「穏やか」「フレンドリー」「頼りがいがある」「包容力がある」といったイメージがあります。

では、実際にどのような犬種が、飼いやすい大型犬なのでしょうか。

一般的に、犬のサイズは小型犬、中型犬、大型犬と区別されていますが、実はジャパンケネルクラブ(JKC)では、犬のサイズに正式な基準を設けていません。

今回は平均体重が20kg以上の犬種を「大型犬」とし、JKC発表の「2020年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数」から、人気ランキングトップ5の犬種をご紹介します。

1位|ゴールデンレトリバー

ゴールデンレトリバー

原産国:イギリス
平均体高:51〜61cm
平均体重:25〜34kg

よく見かける大型犬といえば「ゴールデンレトリバー」ですね。

その名のとおり、金色に輝く被毛をもつ大型犬種で、ランキング2位の「ラブラドールレトリバー」と並んで、日本では圧倒的な人気を誇っています。

もともとは鳥猟犬として、ハンターが撃ち落とした水鳥を泳いで回収(レトリーブ)する役割を与えられていたため、水を怖がらず泳ぎがとても得意です。

獲物を回収する仕事を担っていたため、ボールなどをくわえて持ってくる遊びも大好きです。

性格は明るく陽気で、優しく穏やか。攻撃性が低くとてもフレンドリーなので、番犬には向いていません(笑)

さらに、従順で学習能力が高く、しつけがしやすいなど、抜群に飼いやすい犬種です。

もともと猟犬だっただけに、運動量は多く、1日2回それぞれ30分〜1時間程度の散歩と、ボールを投げてもってこさせたり、夏は海や川で泳ぐなど、遊びを兼ねた運動の時間を別に設けるとよいでしょう。

アクティブで遊び好きなので、アウトドアを一緒に楽しんだり、子どもの遊び相手にもぴったりです。

アクティブなだけに、きちんとしつけをしないと散歩のときの引っ張りが強いなど、大変な面もあります。

飼い主をグイグイと好き勝手に引っ張り回しているゴールデンレトリバー、いますよね……。そうならないように、お散歩のトレーニングはしっかりと行いましょう。

被毛は長毛のダブルコートで、春と秋の換毛期は抜け毛が特に多くなるので、こまめなブラッシングが欠かせません。

私は、以前飼っていたゴールデンレトリバーのブラッシングをうっかり怠けた結果、ほぐせないほどのガチガチの毛玉ができてしまい、仕方なくハサミで根本からカットしたことがあります。

普段は1日1回、換毛期には1日2回程度のブラッシングをするとよいでしょう。

2位|ラブラドールレトリバー

ラブラドールレトリバー

原産国:イギリス
平均体高:54〜57cm
平均体重:25〜36kg

JKC発表の「2019年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数」では、大型犬人気ランキング1位だった「ラブラドールレトリバー」。

2020年のランキング1位「ゴールデンレトリバー」と並んで圧倒的な人気を集めている大型犬種です。

ラブラドールレトリバーというと、盲導犬をイメージする方が多いと思いますが、他にも麻薬探知犬、災害救助犬、セラピー犬など、人間のパートナーとして幅広く活躍していることからもわかるとおり、知能が高く学習能力に大変優れています。

ゴールデンレトリバーと同じくもともとは鳥猟犬ですが、さらに漁師を手伝って流された漁網を探すなど、泳ぎの達人でもあります。

ちなみに毛色はイエロー、ブラック、チョコレートの3種類です。

学習能力が高いのでしつけがしやすく、穏やかで優しく攻撃性が低いうえに、人に喜ばれることを好むため、大型犬のなかでも特に飼いやすい犬種といえるでしょう。

見知らぬ人にもフレンドリーなので、番犬には不向きです。

ゴールデンレトリバーと同様、猟犬として働いてきた犬種なので非常に活発です。運動不足によるストレスを避けるため、1日2回それぞれ30分〜1時間程度の散歩が必須です。

また、この犬種も「レトリバー」なだけに、なにかをくわえて持ってくる遊びが大好きです。ボールやフリスビーなどを投げると、喜んで持ってきてくれますよ。

泳ぎも得意なので、夏は海や川へ連れて行ってあげるなど、一緒に遊びながら運動する時間を作るようにしましょう。

私が以前飼っていた黒いラブラドールレトリバーは、150cm近いフェンスを簡単に飛び越えてしまうほど身体能力が高く、とてもアクティブな犬でした。

2歳頃まではかなりやんちゃで、家具をかじるなどイタズラもありましたが、3歳になる頃には落ち着いたように記憶しています。

短毛ながらダブルコートなので、換毛期は抜け毛が増えます。2日に1回程度はブラッシングをしましょう。

3位|シベリアンハスキー

シベリアンハスキー

原産国:アメリカ合衆国
平均体高:50.5〜60cm
平均体重:15.5〜28kg

1909年にアラスカで行われた犬ぞりレースで好成績をあげたことで、世界中に知られるようになった「シベリアンハスキー」。

日本では90年代に、漫画「動物のお医者さん」や映画「南極物語」の影響で大ブームが巻き起こり、社会現象にまでなったことを記憶している方もいるでしょう。


オオカミを思わせる独特の野生的な風貌と青い目で、爆発的な人気を得たのでした。

外見は凛々しいシベリアンハスキーですが、性格は優しく友好的で、そのギャップもこの犬種の魅力のひとつです。

もともとそり犬として働いていたシベリアンハスキーは、そりを引きながら長距離を移動できるパワーとスピード、持久力を持ち合わせているため、運動量がとても多いことで知られています。

散歩は1日2回、それぞれ1時間程度は歩くようにしたいものです。

歩くだけでなく、ランニングやボール遊びなどを散歩のメニューに加えると、変化が出て犬の満足度も高まります。

上述のとおり優しく友好的な性格で人なつっこいので、飼いやすい犬種ではありますが、いたずら好きな面もあります。

また、自分で状況判断をして行動するタイプの犬なので、しつけが難しいというイメージがありますが、あきらめずに根気よくしつければ応えてくれるはずです。

私も90年代にシベリアンハスキーを2頭飼いましたが、彼らの陽気な性格が大好きでした。

ひとつ困った点は、脱走癖があったこと。

室内で飼っていましたが、脱走するチャンスは逃さない!といった感じで、実際に2回逃げられてしまいました(いずれも無事に帰ってきました)。

シベリアンハスキーを飼う際は、念には念を入れて脱走対策をしてください。

それから、寒さに非常に強い犬種だけに、ダブルコートの犬のなかでもアンダーコートが特に分厚く密集していて、年に2回の換毛期には驚くほど大量の毛が抜けます。

ブラッシングと部屋の掃除をしながら、「こんなに抜けてなぜハゲないんだろう?」と不思議に思ったものです(笑)

4位|スタンダードプードル

スタンダードプードル

原産国:フランス
平均体高:45〜60cm(+2cmまで許容)
平均体重:16〜25kg

プードルには4つのサイズがあり(トイプードル、ミニチュアプードル、ミディアムプードル、スタンダードプードル)ます。

そのなかで最大のサイズを誇るのが「スタンダードプードル」。

街でよく見かける「トイプードル」よりも、体高が約4倍にもなる大型犬です。

頭脳明晰で優しく、従順な性格なので、初心者にも飼いやすい犬種といえるでしょう。

もともと水漁犬だったため運動能力が高く、さまざまな芸を披露したり、アジリティ競技で活躍したりと、活動的な個体が多いのが特徴です。

反面、運動不足によってストレスが溜まりやすいので、散歩はもちろん遊ぶ時間も十分に確保する必要があります。

被毛はシングルコートで抜け毛は少ないですが、巻毛の長毛は毛がもつれやすいため、毎日のブラッシングと定期的なトリミングが必須です。

また、寒さに弱い犬種なので、ぜひ室内で飼ってください。

5位|バーニーズマウンテンドッグ

バーニーズマウンテンドッグ

原産国:スイス
平均体高:58〜70cm(60〜68cmが理想)
平均体重:36〜50kg

「バーニーズマウンテンドッグ」はスイス原産の古い犬種で、農場で番犬や作業犬として働いていました。

性格は温和で従順、おおらかな雰囲気をもち、人とのふれあいが大好きなので、大型犬のなかでも飼いやすい犬種といえるでしょう。

温和な性格とはいえ、体も大きく、番犬や護衛犬としての歴史がある犬種なので、しつけはしっかりと行う必要があります。学習能力が高いので、しつけはそれほど難しくありません。

食欲旺盛で太りやすい犬種なので、食事の量を調節し、体重を管理します。

関節疾患にかかりやすいので、滑らないように床にマットを敷くなど、足に負担がかからないように工夫する必要があります。

被毛はややウェーブのかかったダブルコートで抜け毛が多く、換毛期のブラッシングは特にこまめにしてください。

バーニーズマウンテンドッグは大型犬のなかでも寿命の短い犬種といわれています。健康管理のためにも定期的に獣医師に診てもらうようにしましょう。

大型犬を飼う際の心構え・注意点

大型犬と女性

「憧れ」だけで大型犬を飼育することはできません。

さまざまな準備をし、条件を整えて、初めて大型犬を飼うことができるようになります。

楽しいことばかりではなく、負担に感じることやデメリットもあるでしょう。

ここでは大型犬を飼う際の心構えと注意点をまとめました。

大型犬は広い飼育スペースが必要

小型・中型犬を飼う場合に比べて、大型犬を飼うには、より広いスペースが必要です。

大型犬用のケージやクレート、ベッドを置くスペース、食事をする場所、トイレを設置する場所……。

十分なスペースがありますか?人も犬も窮屈な思いをせずに生活できますか?

事前に入念にシミュレーションをしておきましょう。

大型犬は運動量が多い

多くの大型犬は猟犬や牧羊犬、そり犬など、使役犬として働いてきた歴史をもっています。

そのため運動量が非常に多く、1回の散歩は平均1時間程度、活動的な犬種の場合は2時間程度かかる場合もあるでしょう。

それに応えられる時間と体力があるかどうか。

大型犬を飼えるかどうかの判断基準にもなる、重要なポイントです。

大型犬は飼育費用がかかる

食費、医療費、トリミング代、リードや首輪など犬用品代、ペット保険の保険料……、すべてにおいて大型犬の飼育にかかる費用は小型・中型犬に比べて高額になります。

特に心配なのが医療費です。

突然の怪我や病気による通院や入院、手術の費用は、驚くほど高額になることがありますが、それを支払えるかどうかも、事前にシミュレーションしておきましょう。

ペット保険に加入することも検討するべきかもしれませんね。

ちなみに、我が家の先代の秋田犬は14歳で亡くなるまでの2年間ほどは、ほぼ毎週通院し、医療費とペット保険の保険料だけで、毎月5万円前後支払っていました。

大型犬はしつけが大切

体が大きく力も強い大型犬。

散歩のときのリードの引っ張りが強ければ、飼い主が転んでケガをしたり、襲うつもりはなくても、人に飛びついてケガをさせてしまうかもしれません。

そうならないために、子犬の頃から散歩時にリードを引っ張らないよう、しっかりとしつける必要があります。

声も大きいので、やたらと吠えれば近所迷惑になってしまいます。無駄吠えをしないようにしつけることも大切です。

大型犬は寿命が短い

小型・中型犬に比べ、大型犬は寿命が短い傾向にあります。

体が大きい分、内臓に負担がかかり、病気になりやすいためと考えられています。

切ないことですが、大型犬は短命で、お別れが思いのほか早く訪れるかもしれないと、心得ておきましょう。

大型犬は老後の介護が大変

シニア犬になると病気がちになり、通院の頻度が増えます。

通院の度に、家の中から車へ、車から病院へと、足腰が弱った大型犬を抱えて移動するのはかなり大変です。

また、老犬になると、寝たきりになってしまうこともあります。

同じ体勢で寝ていると床ずれができてしまうので、飼い主が体の向きを変えてあげなくてはいけません。

寝たきりになった大型犬の体の向きを変えるのは、想像以上に難しいのです。

言い方が悪いかもしれませんが、大型犬の介護は、「重労働」です。

そのことも考慮に入れて、大型犬を飼うかどうかを検討しましょう。

大型犬は換毛期の抜け毛などお手入れ・お掃除が大変

特にダブルコートの大型犬は、換毛期の抜け毛の量が半端ではありません。

毎日ブラッシングをしてバケツ一杯の抜け毛を処理し、1日に何回か掃除機をかけても、部屋の中を舞う犬の毛……フローリングはまだ掃除がラクですが、床に敷いたラグなど布製品に付いた毛は、粘着カーペットクリーナーなどを使わないと取れません(我が家の場合)。

換毛期の犬が車に乗れば、車の中も毛だらけです。

大型犬の換毛期のブラッシングとお掃除は本当に大変です!

まとめ

冒頭でも書きましたが、私は現在、秋田犬と柴犬を飼っています。

秋田犬
■我が家の白毛の秋田犬、巫(みこ)

今回ご紹介した大型犬の人気ランキングのトップ5に、秋田犬は入っていませんが、私の個人的な感覚では、秋田犬はとても飼いやすい犬種です。

一緒に飼っている小型犬の「柴犬」よりも飼いやすく、私がこれまでに飼ったことのある大型犬のなかで、最も飼いやすいと感じるのが「秋田犬」なのです。

「飼いやすい」の感じ方は人それぞれ、そして同じ犬種であっても性格は個体によって違うでしょう。

ただ、どんな犬種にしろ大型犬を飼うには、時間と体力、飼育スペースと経済力が必要です。

お別れのときまで責任をもって飼える環境にいるのなら、ぜひ大型犬と暮らす楽しさを味わってほしいと思います!