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【元動物看護士が解説】自宅で愛犬の皮下点滴ができる?注意点や方法は?

ベッドで横になる犬

「点滴」という言葉になじみのある方は多いでしょうが、では「皮下点滴」はご存じでしょうか?

人の場合は機械を通してカテーテルから輸液剤をポタポタ流すやり方が多いですが、動物病院では皮下点滴(皮下輸液とも呼ばれます)もよく行われます。皮膚と筋肉の間にある「皮下」という部分に輸液剤を入れる方法です。

皮下点滴の治療のため動物病院へ通院している飼い主もいれば、すでに自宅で皮下点滴をしている飼い主もいるでしょう。

今回は、自宅で愛犬の皮下点滴を始めたけれどちょっと不安な方や、「自宅で皮下点滴ってどうやるの?」といった疑問や悩みについてわかりやすく解説していきます。

動物看護師としての勤務していた時の経験から、皮下点滴のやり方だけでなく、飼い主の心構えも一緒にお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

自宅で皮下点滴をする前に

これから自宅で皮下点滴をする予定の方はもちろん、皮下点滴をすでに自宅で経験している方も必ず確認してほしいことがいくつかあります。

どんな時に、何のために自宅で皮下点滴を行うのかを理解しなければ、犬のためになりません。自宅で皮下点滴をする意味をはっきりさせて、安心安全に行いましょう。

かかりつけ医に必ず確認する

獣医師と犬

はじめに知っておいて欲しいのは、「誰でも自宅で皮下点滴ができるわけではない」ということです。

皮下点滴は、診察してもらった獣医師の許可やすすめがあって初めて可能となります。その際、なぜ自宅での皮下点滴が必要なのか説明があるはずです。犬の体調とあわせてしっかり確認しておきましょう。

そもそも注射針などの医療器具は一般の人は購入できないため、実際に自宅で皮下点滴をすることになった場合は動物病院から必要なものを購入することになります。

同時に、獣医師からやり方や注意点を説明されるでしょう。内容をまとめたプリントを渡してくれる動物病院もありますし、そうでなければ自分でメモをして必要な時にすぐ確認できるようにしておいでくださいね。

メリット・デメリットを確認する

実際に行う前に、自宅で皮下点滴をするメリットとデメリットを確認しておきましょう。

そもそも点滴は、何らかの原因で水分や食事を口から摂ることが難しい場合や、脱水や感染症などで一時的あるいは継続的にミネラル、水分を補うことが必要な場合に行われます。

これらの中で自宅での皮下点滴に適しているのは、継続的に点滴が必要な場合です。

自宅で皮下点滴を行うことにはメリットとデメリットがあるため、チェックしておきましょう。

【メリット】
・通院の必要回数が減る
・動物病院で行うより費用がかからない
・通院による愛犬のストレス軽減する

【デメリット】
・体調の変化に気づきにくい
・うまく皮下点滴ができないことがある
・針や輸液剤などの衛生管理をしっかり行う必要がある

自宅での皮下点滴に適しているかどうか

自宅での皮下点滴には、適している人とそうでない人がいます。犬の安全のためにも、自分がどちらに当てはまるのか確認しておきましょう。

自宅での皮下点滴に適している人の基準は、以下の通りです。すべての基準に当てはまっていなくても問題ありませんが、自宅での皮下点滴は獣医師や看護師の代わりに飼い主が行うということを自覚しておいてくださいね。

・針を刺すことに抵抗がない(怖がるようでは難しい)
・愛犬の体調変化に敏感(変化の見逃しは体調悪化につながる)
・おかしいな?と思ったらすぐに動物病院に行く心構えを持っている(自己判断をしない)
・夜間病院をしっかり把握している(緊急時は一刻を争います)

また、保定をする人と皮下点滴をする人で、人数は2人必要です。家族や友人に協力してもらいましょう。

自宅での皮下点滴の方法

ここからは、皮下点滴の準備とその手順について説明していきます。

準備するもの

動物病院で用意してくれるものと、自宅で用意するものがあります。

【動物病院で用意してもらえるもの】

点滴道具

・輸液剤
・輸液セット
・翼状針もしくは注射針

【自宅で用意するもの】

S字フックとタッパー

・使用済みの針を捨てるための箱(針が突き破らないように金属製かプラスチック製のもの/画像ではタッパーを用意しています)
・輸液剤を引っ掛けるためのS字フック

手順

(1)輸液剤を温めます。

愛犬に冷たい輸液剤が入ると体温の低下につながるため、それを防ぐために触って温かいくらいの温度がよいです。

温める方法には湯せんと電子レンジがありますが、時間短縮を考えレンジをおすすめします。

輸液剤

その際、輸液剤の中に不純物が入ると汚染してしまうため、輸液剤の先端であるゴムの部分は決して触らないようにしてください。

(2)輸液剤を高さのある場所に引っ掛けます。

輸液剤

この時にS字フックがあると引っ掛けられる場所が増えおすすめです。

(3)輸液セットのびん針を直接触れないように注意しながら輸液剤に刺します。

輸液セット

この時、クレンメは閉じた状態であることを確認してください。

(4)輸液セットのもう一方の先端に針を取り付け、針は手に持ちます。

(5)点滴筒を押して輸液剤を半分くらいためます。

点滴筒

(6)クレンメを開き、ラインに輸液剤を通します。

(7)クレンメを一旦閉じ、ラインに空気が入っていないか確認してください。

もし空気が入っていればクレンメを開き輸液剤で押し流します。

(8)いよいよ針を刺します。

点滴のやり方

刺す場所は肩甲骨の間あたりが一般的です。

画像は猫のぬいぐるみですが、犬も猫も一緒ですので安心してください(笑)

(9)皮膚をつまみ、伸びたところに刺します。

点滴針

針の先端の角度が大切です。画像のような向きだと、スムーズに刺すことができます。

針は抜けないように軽く押さえておきましょう。

点滴のやり方

(10)クレンメを開きます。

針先が皮膚の反対側まで貫通している場合は輸液剤が漏れます。その時は一度クレンメを閉じ、針を刺し直します。

輸液剤が入っていかない時は、針先が皮下に入っていないので(針が深く入り過ぎているか、浅過ぎるかのどちらかです)、針先を微妙に動かしながら輸液剤が流れていく箇所を探すか、針を刺し直しましょう。

刺し直す場合には、一度くらいなら同じ針をそのまま使って大丈夫ですが、それ以上は針が刺さりにくくなり痛がるかもしれないので交換してください。

無事に皮下点滴が始まったら終わるまでの間、ごほうびをあげてもいいでしょう。

ごほうびに興奮して動いてしまう場合には、なでなでしてあげてください(笑)

自宅での皮下点滴で遭遇する悩みや不安

自宅で皮下点滴をしていると、あれ?どうしよう?という事態に遭遇することもあるでしょう。

自分で対処できるもの、そうでないものについて説明します。

よくある症状①コブ

皮下点滴が終わった箇所がラクダのコブのようにぽっこりしているかもしれませんが、それはしっかり皮下点滴ができた証拠です。安心してください。

コブは半日から数時間で体に吸収され消えます。

よくある症状②液漏れ

皮下点滴の針を抜いた箇所から輸液剤が滲み漏れ出すことがあります。コットンやティッシュなどでその箇所を数秒数分の間圧迫してください。すぐ治まります。

よくある症状③浮腫

輸液剤が背中から足先やお腹側へと移動し、浮腫になることもあります。こちらも時間と共に体に吸収されるため大丈夫です。

輸液する量が多すぎないか病院に確認すると、より安心ですね。

嫌がる時は?

うなる犬

針を刺すのでとても痛そうに思うかもしれませんが、犬の皮膚は人ほど痛みを感じません。

ただし、犬の性格によっては嫌がることもあるため、いくつか対処法を紹介します。

嫌がる原因の一つに、保定で押さえられたうえに背中に何かをされた違和感が不快だったことが考えられます。

犬は高いところが苦手なので、テーブルくらいの高さの上にのせると大人しくなることもあります。

また、そのくらいの高さだと保定もやりやすくなりおすすめです。

保定がしっかりできていると、自然に犬と密着します。

保定があまいと自分の体と犬との隙間ができてしまい、その不安定さから嫌がり動き出す子もいるため、まずはしっかり保定をしてみましょう。

ただし、高いところでは飛び降りてしまうような子の場合は、床で行うほうが安全です。

他には、ケージやキャリーなどの狭い場所で行うと落ち着く子もいます。

中にはバスタオルで視界を覆う、おやつをあげながら行うなどの方法で大人しくする子もいるようです。

嫌がる場合には「場所」を選び「保定」をしっかりすることで解決するかもしれません。いろいろ試してみましょう!

保定のやり方

保定の基本は「首」「肩」「腰」の3箇所です。

ここさえしっかり押さえれば簡単には動けないはずです。

首にしっかり腕を回し、肘で犬の腰を自分の体に引き寄せます。

この時、犬と自分の体が密着していることを意識してください。

様子がおかしければすぐに病院へ

皮下点滴が終わったら、犬の様子を見ておきましょう。

もしも呼吸が苦しそうな様子があれば、すぐに動物病院に行ってください。

皮下点滴が直接の原因かどうかは別にして、異変があれば獣医師に相談する必要があります。

急変を想定し、自宅で皮下点滴を行う場合には、動物病院にいつでも行けるよう日中に行うようにしましょう。

まとめ

犬と飼い主

愛犬の皮下点滴を自宅で行う場合、それには必ず獣医師の指示と、定期的に診察を受けることが絶対条件です。

飼い主と愛犬の負担が軽減される一方で、少なからずリスクは伴います。

それらを理解した上で、愛犬と一緒にがんばる飼い主の参考になれば幸いです!

かりん

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