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シンガプーラ猫ってどんな猫?知っておきたいシンガプーラの基本情報

シンガプーラ

丸くて大きなクリクリの瞳とピンと立った耳、そして世界最小といわれる小さな体が特徴的なシンガプーラ。

見た目の愛らしさだけではなく性格も魅力が多い猫で、人気の描種のひとつです。

今回は「世界最小の猫」シンガプーラの歴史や特徴、飼い方のコツなどをご紹介します。

シンガプーラがかかりやすい病気や飼育の注意点なども解説しますので、シンガプーラを飼いたいと思っている方はぜひご参考にしてください。

歴史

シンガプーラ
シンガプーラの歴史は約50年前に遡ります。

1970年代前半、シンガポールに赴任していたアメリカ人の夫妻が下水道で小さな猫を発見しました。

夫妻はアメリカへ猫を持ちかえり、繁殖を行いました。これがシンガプーラの始まりです。

セピア色の小柄な猫はアビシニアンに酷似しており、自然発生ではなく人為的に作られたと疑われたこともありますが、繁殖から数年後、1988年にはCFAに公認され純血種として認められました。

現在では人気の描種のシンガプーラですが、夫妻に発見される前は排水管に暮らしながら魚をあさっていたため「下水猫」という意味の「ドレインキャット」と呼ばれていた歴史もあります。

近年では、発祥元であるシンガポールで観光マスコットとして認定されました。

ペットとしてだけではなく、国のアイコンのひとつとして地位を確立しています。

大きさ

シンガプーラは「世界最小の猫」といわれています。

体重は平均2kg~3kgと小柄で、集合住宅でも飼育しやすいのが魅力です。

その小柄な姿から「小さな妖精」とも形容されます。

毛色

シンガプーラの毛色は1色のみと決まっています。全体的にはティッキング(1本の毛に2種類以上の帯状の模様)が入ったセピアカラーで、根本はアイボリー+濃いブラウンのティッキングです。

シルクのようにスベスベの手触りの短毛で、シングルコートのため抜け毛は少なめ。尻尾の先端になるにつれ濃いブラウンに変わります。

また、前足の内側には濃色の横縞が入ります。お腹の部分の色が薄いのも特徴です。

体の特徴

シンガプーラ

シンガプーラのボディタイプは、全猫種の中で最小の「セミコビータイプ」です。

セミコビーは四肢・胴体・尻尾がやや長めなタイプで、しっかりとした顎を持ち、足先が丸みを帯びていることが特徴です(シンガプーラ以外のセミコビータイプは、アメリカンショートヘアー・スコティッシュフォールド・マンチカンなどが代表的)。

小柄ではありながらも筋肉質で、高い場所にスルリと登れる筋力としなやかさを持っています。

アイラインの入った目は大きく、主にグリーン・カッパー・イエローに分かれます。

耳はピンと立ち、両耳はやや離れているのが特徴です。

寿命

シンガプーラの平均寿命は10~15歳とされています。一般的な猫の寿命と比べて大きな違いはありません。

定期的なワクチン接種や健康診断を受けることで長生きをしてもらうことができます。

性格・気質

シンガプーラ

シンガプーラの性格は「神経質」「好奇心旺盛」「一途」です。

一見すると相反するようなこれらの要素を合わせ持った気質をしています。

基本的には大人しい性格で滅多に鳴きません。人懐っこく、家族には心を開きます。性格も優しく飼いやすい猫です。

飼い主さんに一途で甘えん坊なため、猫にツンとしたイメージを持っている人は驚かされるでしょう。

飼い主への独占欲が強すぎるが故に、ヤキモチを妬いてしまうこともあります。

神経質であるため大きな音には敏感で、騒がしい場所を好みません。静かで落ちついた場所で飼い主さんの愛情を独り占めしている時間が、何よりも幸せです。

下水で生活をしていたルーツを持つため、好奇心旺盛で狭い場所にもぐり込みます。落ち着きと無邪気さを兼ねそなえた、さまざまな魅力を持つ猫といえるでしょう。

飼育のポイント

シンガプーラ

環境

シンガプーラは高温多湿の国が出身地のため、冬の寒さに非常に弱い描種です。寒さ・乾燥への対策はしっかりと行い体調管理を徹底してあげてください。

冬は暖房器具が必須ですが、乾燥にも気を配る必要があるため加湿器もセットで使うとベストでしょう。

猫が触れても安全なヒータータイプや床暖房などがおすすめです。

シンガプーラは1日15時間~17時間の睡眠を必要とします。個体や年齢によっては1日20時間眠る子もいます。神経質で騒がしい場所を好まない猫種のため、満足するまでゆっくり眠れる静かな場所を用意しましょう。

ハウスやベッドは、人通りが少ない場所に用意することをおすすめします。

また好奇心旺盛なシンガプーラは狭い場所も大好きです。テレビの裏やソファーの下などに入りこみやすいため、コードを噛まれないための工夫も必要です。

運動量

シンガプーラは高い場所に登って遊ぶことを好むため、高さのあるキャットタワーを用意してあげるとよいでしょう。

タンスや棚の上など登りやすい場所の物は片付け、安全性を確保してあげてください。

運動量が足りないと、登ってはいけない場所に登ったり植木鉢を倒したりなどのいたずらをすることもあります。飼い主が積極的に遊んであげることも必要ですが、1匹でも遊べるような知育玩具や動くおもちゃなどを用意してあげるとフラストレーションがたまりづらいでしょう。

しつけ

シンガプーラは頭が良い猫種のため、しつけに困ることは少ないでしょう。

しかし、旺盛な好奇心による事故を防止するために「入ってはいけない場所」を覚えてもらう必要はあります。

猫が言われてすぐに気づけるような「ダメ」「コラ」などの短い言葉を、一貫して低いトーンで伝えるようにしましょう。また叱るだけではなく、安全な遊び場所を確保しておくことも重要です。

とはいえ神経質な性格のため、叱るよりも褒めてしける方法が効果的とされています。

正しい遊び方をしている時にはオヤツをあげる・遊んであげるなどを繰りかえし、飼い主がコントロールできる場所に「本人のお気に入りのスペース」を作らせるとよいでしょう。

お手入れ

スキンシップ兼皮膚疾患防止のために、定期的なブラッシングを行いましょう。

短毛種であるシンガプーラは週に2~3回のブラッシングで十分です。

ラバーブラシや獣毛ブラシを使用し、お手入れをしながらマッサージもしてあげてください。

子猫の頃からブラッシングに慣れさせておくことで、皮膚疾患の早期発見にも繋がります。脇の下や足元など、見えづらい所も触らせてもらえるように慣れさせておきましょう。

多頭飼い

シンガプーラは、基本的には多頭飼いに向かない描種です。他の猫がいると普段以上に神経質になり、警戒心を抱いて隠れることが多くなります。ストレスをためて体調を崩してしまう可能性があります。

飼い主以外に心を開かない個体が多いため、多頭飼いを前提にしている方はシンガプーラをあまりおすすめできません。

友好的な性格の個体にギャンブルのように望みを託すよりも、シンガプーラの猫種としての特性を受けいれ、単独飼育で100%の愛情を注いであげましょう。

「水」との付き合い

水が苦手な猫種が多い中で、シンガプーラは水場をあまり気にしない傾向があります。シャンプーなどは、他の猫種と比べると比較的柔軟に対応してくれる個体が多いでしょう。

しかし時には「水場でも平気」という長所が危険を呼びこむこともあります。

水を張ったバスタブは、落下の危険性があるため絶対に近づけてはいけません。必ず栓を抜くか、浴室のドアを閉める習慣を徹底しましょう。

またシンガプーラの水遊びでは、飲み水の入った容器をひっくり返してしまうことがあります。重い容器やケージ備え付け型の給水器を使用したり、水飲み場をいくつか用意したりなどの方法で対策を取ると安心です。

気をつけたい病気

シンガプーラ

ピルビン酸キナーゼ欠損症

ピルビン酸キナーゼ欠乏症は、シンガプーラが遺伝的に発症しやすい病気です。

赤血球の生存のためには「ピルビン酸キナーゼ」という酵素が必要になります。ピルビン酸キナーゼ欠損症では、この酵素が不足して鉄分が足りなくなり貧血を起こします。

疲れやすい、食欲低下、脈や呼吸が早いなどの症状が特徴的で、個体によって重症度はさまざまです。軽症の場合は治療の必要はありませんが、重症の場合は輸血やステロイド投与、脾臓の摘出手術などが行われます。

肥大型心筋症

肥大心筋症は、心臓の筋肉が肥大し心室(心臓の下方を占める、厚い筋肉でできている部屋)が狭くなる病気です。

元気がなくなり、食欲低下や体重の減少などが現れます。肥大した心臓の筋肉は血管を圧迫して血栓をつくり、血液の循環を悪化・停止させます。

検診である程度予防できる病気のため、定期的な健康診断が重要です。基本的には治療方法は無く、進行の状態を抑えながら症状に合う治療を行います。

各種皮膚疾患

シンガプーラは皮膚疾患にかかりやすい描種ですが、その原因は主に暖房器具内のカビや菌だとされています。

肌寒い季節では暖房器具での室温調整が必須であるため、雑菌や乾燥による皮膚疾患には注意が必要です。

皮膚疾患ではかゆみや炎症、脱毛などの症状が一般的です。室温を維持しつつ加湿も並行して行いましょう。

またカビ・花粉などが散乱しないよう清潔さをキープする環境づくりでも予防できます。

ストレス性疾患

シンガプーラは寂しがりで神経質な一面があるため、ストレスで体調を壊しやすい傾向があります。

ストレス性疾患では脱毛や食欲不振、消化不良などが一般的な症状です。

普段から遊びに付きあってあげたりリラックスできる環境を作ったりなど、可能な限りストレスをためさせないよう努めてください。異変を感じたら早めの受診をおすすめします。

まとめ

シンガプーラ

今回は、シンガプーラの特徴や飼育のポイントをご紹介しました。

好奇心いっぱいの元気で無邪気な姿が魅力のシンガプーラ。活発な印象とは裏腹に、飼い主さんに一途な甘えん坊の一面も持っています。

特に単独飼育を希望している方は、ぜひシンガプーラをお迎えしてみてはいかがでしょうか。

飼い主と猫、お互いに愛情をたっぷり与えあえる関係性を楽しんでくださいね。