最も身近な観賞魚「金魚」の代表的な種類と基本的な飼い方

金魚を知らない人は少ないでしょう。
もともとは中国に起源のある魚であり、日本に伝来してから500年が経つ伝統のある観賞魚です。
一方でより美しい金魚の追求は今も行なわれており、それまでにない表現も時折発表されています。
今回はそんな金魚にスポットを当ててみます。
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金魚のプロフィール
金魚の祖先を辿るとフナの一種にたどり着きます。
原種のフナが突然変異で赤くなったものがその大元とされています。
その後、人の手による品種改良が施され現在に至ります。
改良には様々な方向性があり一口には言えませんが、より色鮮やかに、よりかわいらしく、という考えがベースにあることが見て取れます。
現在、日本の業界団体が認定している品種は34あります。
認定されていないものまで含めれば、その数倍は品種があるものと思われます。
代表的な品種
琉金(りゅうきん)
これぞ金魚といった姿をしています。
体は短く、背中は盛り上がり、お腹は大きく張り、全体に丸っこい体型をしています。
各ヒレは大きく、特に尾ビレはふわっと長く伸びます。
色合いとしては、全身が赤い素赤(すあか)、赤と白のツートンカラーの更紗(さらさ)が基本となります。
オランダ獅子頭(おらんだししがしら)
体型は琉金よりやや長めです。
系統によってはより長いものが好まれることもあります。
大きな特徴は頭部にある肉瘤(にくりゅう)です。
口先や頬、頭にもこもことした肉のコブが発達します。
各ヒレは大きく、特に尾ビレはふわっと長く伸びます。
色合いとしては、全身が赤い素赤、赤と白のツートンカラーの更紗が基本となります。
和金(わきん)
長めの体型をしており、原種のフナに近いとされています。
各ヒレは短く、尾ビレはフナのようなものもいれば、三尾(みつお)といって、上から見て三角形の形をした尾を持つものもいます。
色合いとしては、全身が赤い素赤、赤と白のツートンカラーの更紗が基本となります。
出目金(でめきん)
琉金の体型に大きな眼がついたような金魚です。
色合いは素赤、更紗、黒、多色と様々なものがあります。
よく似た金魚に蝶尾(ちょうび)と呼ばれるものがあります。
■出目金によく似た蝶尾(ちょうび)
こちらは上から見た時にチョウが羽を広げたよう尾ビレをしています。
らんちゅう
樽のような体型をしており、背ビレがありません。
頭部にはオランダ獅子頭のようにもこもことした肉瘤が発達しています。
各ヒレは短いです。
色合いとしては、全身が赤い素赤、赤と白のツートンカラーの更紗が基本となります。
とても個性的な金魚ですが、金魚の王様と称されるほど愛好家に人気があり、全国各地でコンテストが開かれます。
基本的な飼い方
和金のような長い体型のものを長手(ながて)と呼び、それ以外の丸っこい体型のものを丸手(まるて)と呼びます。
金魚の飼い方はこの体型によっても異なる面があります。
水槽
金魚は水槽の大きさなりに育ちますが、5〜10匹をそれなりの大きさに育てようと思ったら、幅60cmクラスの水槽が向いています。
長手はよく泳ぐので、それよりひとまわり大きな水槽を用意しましょう。
一方、小さな鉢での飼育も古くから楽しまれています。
小さな容器では、小さな金魚を少ない数で飼うのが基本となります。
この場合、餌は少なめに、管理(水換え)は小まめにするよう心がけます。
水質・水温
水道水を用いるならカルキを抜きます。
水温は室内であればヒーターはいりません。
丸手の中でも特に丸っこい体型の金魚では冬場に温度が下がるとひっくり返りやすくなります(腹を上に向ける)。
その時は水槽用のヒーターを使うなどして20℃程度に水温を保ちましょう。
フィルター
よく食べる魚なので水量に対して余裕のあるものを選びましょう。
フィルターが小さい場合には水換えを頻繁にして水を清潔に保ちます。
フンも多いので、こまめにフィルターの掃除をしてください。
底砂
敷かなくても問題ありません。
敷いた場合には砂利クリーナーを使って定期的に底砂を洗います。
餌
市販の金魚用の餌を与えます。
1日数回、数分で食べきる量を与えることを基本とします。
大きく育てたい場合には餌の量や頻度を増やします。
逆に小さく育てたいなら量や頻度を抑えます。
温度が低いと食が細くなりますから、季節によっても餌の量を変化させます。
水換え
基本的には、水量に対して魚が多い(大きい)ときには水換えの頻度を上げ、量も多くします。
水量に対して魚が少ない(小さい)ときにはその逆です。
水温が高い夏の方が水は傷みやすいので、水換えの頻度を上げ、量も多くします。
このように、色々な条件で水換えの仕方も異なります。
水槽に暮らす金魚の様子を見ながら、管理を行なうことが大切です。
混泳や複数飼育の注意点
長手と丸手の混泳は避ける
だいたいにおいて長手の金魚は俊敏で活発です。
そのため、長手と丸手を一緒に飼っていると長手ばかりが餌を食べてしまうこともあります。
長手は長手、丸手は丸手同士で飼うのがおすすめです。
複数飼育の際には予備の容器を
温和な魚ではありますが、特に春先になるとオスが発情してメスを追いかけまわします。
追いかけ回されたメスは疲労困憊してしまいます。
その他、金魚の複数飼育では思いも掛けないトラブルが起こることもあります。
いざというときに金魚を隔離できる容器を用意しておくのがよいでしょう。
最高のペットフィッシュ
最後に当たり前のことを書くようですが、金魚はとても人になつく魚です。
住宅事情ほか様々な理由で犬猫やハムスターは飼えない、それでもペットを飼いたいという方にもおすすめできます。
水槽の前に立てば餌をねだってよってくる。
どんな金魚であれ、その様子はとてもかわいらしいものです。
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記事提供:月刊アクアライフ