【日本ペット歯みがき普及協会】ペットのための歯みがきコラム②ペット目線の歯みがきをしよう

歯ブラシをくわえる犬
日本ペット歯みがき普及協会

「歯ミガキマン」として日本中をかけまわり、これまで9都道府県40回以上、累計頭数1,000頭以上のペットたちの歯みがきを指導する歯みがき教室を開催し、毎回歯みがき教室は満席・リピーターが絶えない『赤津先生』やかまくらげんき動物病院で院長もつとめる『石野先生』、動物の行動と心理を専門とするヒューマン・ドッグトレーナー『須先生』にペットの歯みがき初心者でもできる大事なことをシリーズで教えてもらいます。

第2回目の今回は、『須先生』が担当してくれます。

飼い主がペットの生態や行動・心理を知ることが大事

犬と猫

愛犬の噛みつき・無駄吠え・トイレについての粗相など問題行動に悩まされている飼い主様が私のもとにやってきます。

しかし、私はこうした行動を取る犬を問題犬だとは思っていません。

犬は良かれと思って行動し、その時得られるリアクションや事象を踏まえて、経験・学習しているからです。

それが「飼い主様にとって」問題と映っているだけであり、双方に差異が生まれている状態なのです。

吠え合う犬

このように、異種である動物と人間が共生し、コミュニケーションをはかっていく過程において、理解の不一致や不都合が生じることは当然のことです。

人間同士であっても共生するためには相互理解が求められる様に、犬・猫と暮らしていくためには、まずは私たち飼い主が彼らの生態や行動・心理に興味を持ち、知ることが大事だと思います。

では、具体的に歯みがきを日々の生活の導入する際のヒントや考え方・取り込み方について、これからお話していきます。

ペットの歯みがきをはじめる前に意識して欲しいこと

柴犬と歯磨きをする女の子

はじめに、犬・猫の気持ちになって歯みがきをどう感じるのか、想像してみましょう。

少なくとも、犬・猫に歯みがきを「やらなきゃいけない」という意識はなく、飼い主様がムキになって磨こうとすれば、愛犬・愛猫は違和感を感じて困惑してしまうのではないでしょうか?

ここで視点を我々人間に戻して考えてみましょう。

私たちは何故1日3回歯を磨くのでしょうか?

親に言われたから?
虫歯になるから?

では今もそれを意識して歯磨きをしているでしょうか?

そんなことを毎日意識して歯みがきをしている人はほとんどいないですよね。

では、なぜ私たちが毎日3回歯を磨くかというと、それはおそらく歯みがき自体が「習慣」になっているからではないでしょうか。

だからこそ、負担にならないのだと思います。

大切なことは、犬・猫の立場や気持ちになってみることです。

犬の歯みがきをする赤津先生

次の3点を大切にしてみてください。

・歯みがきが気持ち良いものと感じてもらうこと
・一緒に触れ合いながら笑顔でおこなうこと
・歯みがきをただの「作業」として捉えないこと

子どもの頃、親に歯みがきをしてもらった方もいらっしゃると思います。

その時、親御さんのやさしい声や触れる感触がイメージとしては近いと思います。

犬や猫にもこうした感覚を持ってもらえるように意識してみてください。

歯みがきをはじめよう!【導入・犬編】

犬と女性

まずは日常的に身体に触れるようにしましょう。

遊んでいる時はもちろん、寝ている時、興奮・平常時等、シーンに関わらず、犬がいつでも身体を触られることに慣れる環境を作り、飼い主様はいつでも身体を触れるという関係を構築していきましょう。

犬は飼い主様と「時間と空間」を共有する生き物です。

これは何を意図しているかというと、例えばグルーミングやトリミングなどで犬をペットショップへ連れて行き、犬と離れたあといない犬を探してしまい「あっ、いないんだった」と思うことは誰しもあることだと思います。

これは犬独特の存在感によって起こる意識で、犬が長い歴史の中で人間と有機的関係をもってきた証だと思います。

だからこそ、犬の 24 時間にあえて関与することが互いの関係性構築のためにも重要なのです。

日常的に触れることに慣れたら、次に部位を意識します。

犬を触る時、比較的受容度が高いのが肩から腰にかけての部位です。ここは被毛に注目しても硬く、しっかりした毛が生えていますから強い部分とも言えます。

一方、腹部や脇、股等、太い血管が通っている部位や、リンパが流れいている部位は繊細で、被毛も皮膚も薄い部位。こういったエリアを普段から触る練習をしましょう。

言い換えると、大事な部分を触れる関係性を作っていくとも言えます。

ここで上げた部位はウィークポイントと呼ばれ、私たち同様生きていくために本能的に重要なエリアです。

そういった部分を「いつでも」「どこでも」触れる関係性があってこそ、はじめて口元を触ることができるようになります。

歯みがきをはじめよう!【初級・犬編】

犬の歯

口元は、犬にとって特別なエリアです。

それは犬が威嚇するときに口元を相手に見せることからも想像できると思います。

大事な部分であり、自信がある部分だからこそ、うなりながらその部位を見せつけているのです。

つまり、口元に触れることができるということは、大事な部分を飼い主に開放できる関係性であるということが言えます。

私たちが身近な人にしか身体を触ることを許さないのと似ています。

口元を触れるようになったら、次は唇を上げて、愛犬の歯をすべて観察してみましょう。

まずは「違いを知る」ことが大事です。

犬の歯の形、構造は私たち人間とは大きく異なります。つまり私たちが歯を磨くイメージで歯磨きをしても適切でないことが多々あるということです。

※犬の口腔環境については、初回コラムをご覧ください

唇を上げて全ての歯を目視することができたら、次は実際に歯を触っていきます。

ただ基本的に犬の口腔環境では「虫歯菌は繁殖しにくい」と言われているので、歯石沈着による歯肉炎を経て、歯周病になることを防ぐためには、歯垢を取り除くことが重要です。

そのためには歯周ポケットに食べかすが残らないように、「歯と歯茎の間」の掃除が求められます。つまり犬の歯磨きで重要なのは、歯を磨くのではなく、歯と歯茎の間に注力していくことです。

それができるように、この段階で意識的に歯と歯茎の間を指で触る練習をしていきましょう。そうすることで、今後使用するオーラルケア・シートやブラシの受け入れが数段よくなるでしょう。

留意点

この段階で、気をつけるべきことは、あくまでもスキンシップのひとつとして日常生活に取り入れることで
す。

犬に「毎日歯磨きをしないと大変なことになるんだよ!」と発しても理解してもらえません。

まずは身体を触れる関係性を構築して、徐々にウィークポイントにアプローチし、できるようになったら口腔エリアにトライしてみてください。

実際に口元に触れて観察することで、人間と違う部分を認識することができるので、お互いに歩み寄る気持ちで【初級】までのプロセスに取り組んで欲しいと思います。

赤津先生が歯みがき初心者のギモンに答えます!「歯みがきをしやすいタイミングってないですか?」

散歩する犬

全国で歯みがき教室をおこなう中で、参加する皆さんから「歯みがきをさせてくれないことが度々あるのですが、しやすいタイミングってないですか?」という質問をよくいただきます。

私はいつも「お散歩から帰ってきた時が1番チャンスです!」とお伝えしています。

お散歩から帰ってきて飼い主様自身疲れていることと思いますが、ワンちゃんも「ハァハァ、ゼェゼェ」と息を吸い、大きくお口を開けている状態だと思います。

こういった時はワンちゃんも疲れているので、口元を触りやすいタイミングです。

このように犬と飼い主様の関係性や日々の習慣の中に、無理なく組み込むことがお互いのレスストレスと「習
慣化」にはとても有益です。

少しの時間で良いので絶好のタイミングであるこの時に無理のない範囲で歯みがきをしてあげましょう。(歯ミ
ガキマン・当協会代表理事・赤津先生)

まとめ

歯みがきをする際には私たち飼い主は笑顔で愛犬に接して、歯みがきって気持ちの良いものだと思ってもらえるように日常的に触れ合う関係性を目指していただきたいです。

今回紹介したことをぜひお試しください。また次回お会いしましょう!

赤津先生赤津 徳彦(あかつ とくひこ)
(一社)日本ペット歯みがき普及協会代表理事
全国各地で「歯ミガキマン」として活動
須崎大先生 大(すざぎ だい)
(一社)日本ペット歯みがき普及協会理事
《ヒューマン・ドッグトレーナー / しつけトレーナー》
DOGSHIP LLC.代表

(一社)日本ペット歯みがき普及協会

設立:令和3年11月8日
事業内容:ペットの口腔ケアに関する知識・技術の普及、施術士の育成及び講習会の開催、施術士の技術基準の策定、公表及び資格認定、動物愛護精神の更なる啓蒙※一部抜粋
HP:https://jpd-a.or.jp/

記事提供:一般社団法人 日本ペット歯みがき普及協会