【日本ペット歯みがき普及協会】ペットのための歯みがきコラム⑤みがき残しを減らすためにできるポイント

歯みがきをする犬
日本ペット歯みがき普及協会

「歯ミガキマン」として日本中をかけまわり、これまで9都道府県40回以上、累計頭数1,000頭以上のペットたちの歯みがきを指導する歯みがき教室を開催し、毎回歯みがき教室は満席・リピーターが絶えない『赤津先生』やかまくらげんき動物病院で院長もつとめる『石野先生』、動物の行動と心理を専門とするヒューマン・ドッグトレーナー『須﨑先生』にペットの歯みがき初心者でもできる大事なことをシリーズで教えてもらいます。

第5回目の今回は、『赤津先生』が担当してくれます。

人にも多い、みがき残し「歯垢除去率」

歯医者さんにお聞きすると、奥歯、隙間、内側に虫歯がある人が多いと聞きました。歯並びが影響するということも含めて、自分の歯でも「みがき残しをせず歯みがきする」というのは難しいそうです。

人間がそうなのであれば、大人しく歯をみがかせてくれないペットはもっと「みがき残し」が多いのは当然で、ペットの歯みがきの「みがき残し対策」は、永遠のテーマです。

では、どのようにすれば「みがき残し」を減らせるのでしょうか?

2つ解決方法があります。

1つ目は、何か1つに頼ることなく、人間同様、いくつかの手段を併用して歯みがきをすること。

2つ目は、歯垢が付きにくい環境を作ること。

です。

突然ですが、ここで人間の歯みがきについてクイズです。

飼い主の皆さんも毎日歯みがきをされていると思いますが、人間の歯みがきについて平均の歯垢除去率はどのくらいだと思われますか??

こういう質問が出るという時点で、そんなに高くないというのはお判りいただけると思います。

実は、人の歯垢除去率は平均で約60%のだと言われています。

この60%というのは、あくまで自分の歯を自分でみがいた場合です。

嫌がることもせず、3分くらい歯みがきをして、そろそろ綺麗になったかなと思って歯みがきを終わらせても、平均で約60%の歯垢除去率ということなのです。驚きではないでしょうか??

もちろん、みがけている人は80%や90%以上みがけていると思いますが、平均ですので50%以下の歯垢除去率の方もいると考えられます。

こういう状況下にあって、歯みがきを大人しくさせてくれないペットの歯みがきの場合、一体どのくらいの歯垢除去率になるのかと考えるとゾッとします。

当然ながら大人しく3分近くみがかせてくれるワンちゃんは多くはありません。それゆえ、みがいているのに歯が汚れてしまう……という問題が起きるのです。

さて、本題にはいっていきましょう。

ペットの歯のみがき残し対策として、人間の歯みがき習慣を真似することがとても重要です。

人間の歯みがきは、歯ブラシだけでなく歯間ブラシや洗口液を使うことが主流となってきています。

これら3つを組み合わせることで、歯垢除去率100%を目指す時代ですので、ワンちゃんにも同じようにしてあげる必要があります。

実践編ポイント①洗口液を使うこと

ここから実践編になりますが、まず誰でもできることからお伝えをしていければと思います。

1つ目は、歯間ケアとして、洗口液を使うことをおすすめしています。

ただ、ペットはお口をゆすぐことができません。つまり、お水に垂らしたものをそのまま飲み込むことになりますので、選ぶときには注意してください。極力無添加の製品をおすすめいたします。

また注意をしなくてはいけないことは、洗口液でお水の味が変わったことによりワンちゃんがお水を飲まなくなってしまう可能性があります。

飼い主様が良かれと思ってもワンちゃんがお水を飲まなくなってしまうと元も子もなくなりますので、無味無臭の洗口液をおすすめしております。

ただ、中にはもともとお水をあまり飲まない……というワンちゃんもいらっしゃるのではないでしょうか?

その際は、ドッグフードにふりかけるタイプの歯みがき用品もありますので、活用してみるとよいでしょう。

歯をみがくことにはかないませんが、口腔環境を整えるだけでも、大きく差が出てきます。

最近ネットの広告などで、汚い歯がこの手の商品を食べたり飲んだりして真っ白になったという歯の画像を出して広告をしているものがありますが、そんな風にいくわけがありません。

歯をみがくということをベースに、歯間ケア剤も併用するということが必要になりますので、安易に飛びつかない方がよいでしょう。

私達人間の歯も白くするにはある程度の時間を要すると思います。焦らず、慌てず、じっくりと取り組んでいくことをおすすめしています。

実践編ポイント②歯間ブラシを併用

2つ目は、歯間ブラシも併用することです。

と言ってもペット用の歯間ブラシはありませんのでワンタフトタイプがおすすめです。


■ワンタフトタイプの歯ブラシ

歯をみがいた後に、みがき残しが多いところを意識してみがいてあげましょう。

その時、すでに歯みがきをした後になるので、できるだけ短時間に行うように心がけてください。

歯みがきをさせてくれるからと、長い時間歯みがきをしてしまうと、歯みがきを嫌いになってしまうかもしれません。

前回お伝えしたように、ワンタフトブラシの代わりに、デンタルガムを噛ませて汚れを落とす方法もありますので、ぜひお試しください。

ワンタフトブラシのみがき方としては、歯周ポケットに入る毛先になっておりますので、斜め45度で歯をみがいてあげるのがよいでしょう。

奥歯から手前にワンタフトブラシを引いてくるような感じで、優しくみがいてあげることをおすすめしています。

人間用だと毛が長いので、ペット用の約5mmの毛の長さのワンタフトブラシを試してみてはいかがでしょうか?

実践編ポイント③愛犬に合った歯ブラシ選び

3つ目は、愛犬に合った歯ブラシを使うということが大事です。

その中で特に注意して欲しいのが、歯ブラシの大きさです。

いくら毛が柔らかい歯ブラシでも、ヘッドが大きかったりすると、しっかりとみがかせてくれません。

みがき残しが多い奥歯、隙間という部分のケアがより必要になります。

自分の口より大きい歯ブラシがお口に入ってきたことを想像してみて下さい。かなり苦しいですよね。

お口の小さい子であればあるほど、小さい歯ブラシを使うこと、しっかり奥までみがきやすい毛が短めのものを使うことが、歯ブラシを慣れさせるためには必要ですので、ぜひ覚えておいてください。

そして、まずは手の甲で歯ブラシをいつもみがいている力で擦ってみて、痛くない力でみがくことも大事になります。

ワンちゃんの歯の表面のエナメル質は人間に比べて薄いので、それらを傷つけないようにしてください。

やさしくみがくほど、歯茎のマッサージもやりやすくなるので、さらにおすすめです。

汚れをいかに外に出すかがポイント

歯垢を落としやすい環境を作ることも大事です。

大事なことは、お皿でお水を飲ませてあげてしっかりと水分補給とお口をゆすぐことができると、みがき残しを減らすことができます。

ノズル式でペロペロとお水を飲ませている方もいらっしゃいますが、歯みがきという観点からすると、水分補給はできますがお口はゆすげませんので、お皿に入れるようにしてみるといいと思います。

いかに汚れを外に出すかという点に着目してもらえると、よりよいと思います。

人間同様に定期健診を

定期的な獣医師さんによるチェックをしてもらうことで、歯周病のリスクを軽減することができます。

歯石になったまま放置してしまうと、当然ながら歯周病のリスクが高まります。

飼い主様だけで判断することなく、人間同様に定期健診をして、定期的に獣医師による歯石除去をおすすめします。

無麻酔歯石除去は、ペットの負担を減らすことはできますが、目で見える歯石しか取れず、一番大事な歯周ポケットの歯石が取り切れない為要注意です。

中には歯石を無理に取ることで、歯みがき嫌いの子になってしまうことがありますので、獣医師様へのご相談を推奨しています。

常に、私達人間がする行動をペットの為にしてあげることが最善の策だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人間同様にみがき残し対策というのは、非常に難しい問題の1つです。

また、何か1つで解決できるものではありません。

人間の歯みがき同様に組み合わせを工夫してあげることが必要です。

とはいえ、ペットに負担をかけ過ぎずに行うことがとても大事なことですので、最初からすべてをやろうとせずに、今回紹介したことを1つずつ試してみて下さい。

次回は、獣医師の石野先生からワンちゃんの日々の口腔ケアとシニアペット向けに「今からできる!だ液腺口腔ケアマッサージ」をご紹介しいければと思います。お楽しみに待っていてください。

また次回お会いしましょう!