【日本ペット歯みがき普及協会】ペットのための歯みがきコラム⑦オーラルケアができるようになると、愛犬・愛猫との関係性も良好になる

日本ペット歯みがき普及協会

「歯ミガキマン」として日本中をかけまわり、これまで9都道府県40回以上、累計頭数1,000頭以上のペットたちの歯みがきを指導する歯みがき教室を開催し、毎回歯みがき教室は満席・リピーターが絶えない『赤津先生』やかまくらげんき動物病院で院長もつとめる『石野先生』、動物の行動と心理を専門とするヒューマン・ドッグトレーナー『須﨑先生』にペットの歯みがき初心者でもできる大事なことをシリーズで教えてもらいます。

最終回の今回は、須崎先生が担当してくれます。

ペットのオーラルケアが注目される理由

これまで、ペットのオーラルケアの重要性と、具体的なアプローチについてお伝えしてきました。

10年前だったら、ここまでオーラルケアについて取り上げられることも少なかったと思います。

では、何故今、オーラルケアが注目されているのでしょうか?

それは、実際「3歳以上の犬の約8割が歯周病予備軍である」というデータが明らかになっており、その影響で大病を患ってしまうという問題が起きているからです。

また、猫や犬を飼うという意識から、家族と同じような距離感で、共に「暮らす」ライフスタイルを大事にされる方々が増えていることもあげられると思います。

猫や犬には残り飯をあげていればよいと言われていた時代もありましたが、今はプレミアム・フードと呼ばれるペットフードも増えてきています。

少しでも愛犬・愛猫の Q.O.L.(Quality of life) を大事にしたい、そして共有したいという気持ちが現れているのだと思います。

ペットにとっての「衣」「食」「住」

動物にとって「衣」「食」「住」は、私達同様、重要です。ただその優先順位は個体によって異なります。

例えば、裸でうずくまって震えている人がいたとしたら、あなたはどうしますか?

多くの方が、まずは自分が身につけているジャケット等を脱ぎ、その方にかけて包んであげるのではないでしょうか。

一方、小さくなって震えている犬や猫がいたとしたらいかがですか?

身体を小さくして声をかけたり、もし何か食べ物をもっていたら、そっと差し出してあげるかもしれません。

人に対しては「衣」。動物に対しては「食」。このように、個体によって「衣」「食」「住」の優先度は異なるのです。

ペットにとっての「衣」

基本的に動物は「衣」を身に着けていません。

それは紀元前の人間も特に身につけていなかったことから考えると自然なことでしょう。ただ「衣」とは物理的な衣装だけを指すのではありません。

犬は「匂い」の衣をまとうことは、私達は日常的に目撃しています。

たとえば、散歩中に急に背中を地面に擦り付ける愛犬と、絶叫する飼い主。よく観てみると、そこにはミミズの死骸があったり、排泄物等、目視できないものもあったり……。

汚い、臭いという概念は、私達人間とは異なり、犬にとっては時に「おもしろい」と映る匂いもあります。

それを身に着けたいという思いは自然界では「匂いの迷彩」とも言えます。

そういった匂いを身につけることで、匂いのカモフラージュとなり、嗅覚の世界で自然に馴染むことを意味します。ちょっとしたオシャレさん?な行動とも言ってもよいでしょう。

ペットにとっての「住」

現代では室内飼いが増えたことで、犬にとっての住環境は整ってきていると言えます。

加えて、犬用のクッションやマット、ベッドを所有している子もいるでしょう。

ただ忘れてはいけないのが、犬にとっては「家族」も環境因子のひとつである、という点です。

本来動物は「ストレス」をためない生き物です。その理由としてあげられるのが、日常的にアーシング(※)を行っているという点。

※アーシングとは、土や草木など自然物に直接触れることで体内のエネルギーバランスを整えられるという事

動物は、自然物との接触によって、己に帯電した電子や負のエネルギーを自然界に還元することができます。

本来私達人間も土を触ったりという行動を通して日常的にアーシングをしていたのですが、昨今は靴を履き、アスファルトを歩く機会が多いため、アーシングの機会も減っています。

次に、動物は「自分の感情をリリースできる」という点です。

私達は通勤電車内で、相手との距離感が近くても忍耐力が働きますが、動物は「嫌」だと感じると「逃避」「回避」という行動を選択します。

またその際、犬の場合、唸ったり、吠えたり、嫌だという意思表示を行い、ストレスを開放しています。

猫の場合、「嫌」だと感じることはそもそも最初から選択しないので、近づいてきてくれた時が、触ってもよい時となります。

また現代の犬・猫は室内飼いが増え、否が応でも飼い主と同じ時間・空間を共有しています。

コロナ禍になり、ストレスを貯め、さらに在宅勤務が増えた飼い主。その飼い主の影響を犬・猫が多大に受け、問題行動と呼ばれる「ストレス行動」が増えているのも、現場に携わるものとして実感しています。

本来動物が「逃避」「回避」できていたことができなくなっている現代のペットは24時間同じ空間に同居する家族の影響を多大に受けているのです。

ペットにとっての「食」

そして、動物にとって、最優先すべきが「食」です。

哲学者:デカルトは「我思う、ゆえに我あり」と言いましたが、もしかしたら動物は「我喰う、ゆえに我あり」と言うかもしれません。

犬は手を使って狩猟することができないので、比較的マズル前方の歯(門歯・犬歯)を使用し捕獲対象を捕らえます。この時、特にマズル後方の歯(前臼歯・後臼歯)は使用しません。ではいつ前臼歯・後臼歯を利用するかというと、獲物を捕獲し、摂取する時です。

この部位の歯はシザースバイト(鋏状咬合)と呼ばれ、繊維を切り刻む形状をしています。つまり、自分のエネルギーになる対象として摂取する際に使う部分となります。

では、愛犬が大好きなおもちゃを渡した際の心理について推測してみましょう。

愛犬が、自分の歯のどの部位をつかっておもちゃを噛むか?を観察することでそのおもちゃに対する嗜好性が想像できるのです。

■前の歯でカミカミしていたら?
前の歯は、捕食対象とのファーストコンタクト時に使用する部分でもあるので、飼い主の注目を引きたいための行動かもしれません。

■奥の歯でカミカミしていたら?
奥の歯は、捕食対象を摂取するとき以外に、唸るときにも開示する部分であることから、「これはボクのおもちゃだぞ」と主張したりアピールしたい気持ちの現れかもしれません。

このように、歯の構造や噛み方を観察することで、愛犬の心の声をキャッチしたり想像したりすることもできるでしょう。

また、犬は口からも匂いを嗅げるという事実をご存知でしょうか?

犬の嗅覚が鋭敏であることは周知の事実ですが、さらに口腔内にあるヤコブソン器官(鋤鼻器)と呼ばれる感覚器官で臭気情報を獲得することができます。

私達人間も持ち合わせていた器官ではありましたが、退化してしまったようです。つまり食べることは重要である一方、自身の安全安心のため情報収集は欠かさない動物の心情が読み取れます。

このように、進化の過程を鑑みても、犬にとって「食」がどれほど重要であるか、理解できると思います。

そして犬たちも健康な「歯」なくして、エネルギー摂取はできません。

野生の頃は、捕食対象を非加熱のまま摂取し、生の骨も捕食していた等の理由から、おそらく口腔環境は保たれていたと思われます。

いっぽう、現代の家庭犬・猫は食生活も異なりますので、日々のオーラルケアは必須になります。

しかし、犬・猫にその点を説いても伝わりません。

だからこそ、現代社会で共生していくために、私達人間が、犬・猫がオーラルケアを受け入れられるように、導き、教え、ケアしてあげることが重要になります。

さらに、オーラルケアができるようになると、愛犬・猫との「関係性も良好になる」という恩恵も期待できます。

健康も保たれ、共生を謳歌できると考えると、今日からのオーラルケアも笑顔で取り組めるのではないでしょうか。

まとめ

歯磨きやペットとのコミュニケーションに課題を感じていらっしゃる方はご安心ください。

私達は専門家として、皆様がもっとその気持をペットたちに伝えられるようサポーターであるべきだという思いで、2021118日に立ち上げたのが一般社団法人日本ペット歯みがき普及協会です。

今後、様々なスタイルで、場所でお会いできますことを楽しみにしています!

赤津先生赤津 徳彦(あかつ とくひこ)
(一社)日本ペット歯みがき普及協会代表理事
全国各地で「歯ミガキマン」として活動
須崎大先生須崎 大(すざぎ だい)
(一社)日本ペット歯みがき普及協会理事
《ヒューマン・ドッグトレーナー / しつけトレーナー》
DOGSHIP LLC.代表

(一社)日本ペット歯みがき普及協会

設立:令和3年11月8日
事業内容:ペットの口腔ケアに関する知識・技術の普及、施術士の育成及び講習会の開催、施術士の技術基準の策定、公表及び資格認定、動物愛護精神の更なる啓蒙※一部抜粋
HP:https://jpd-a.or.jp/

記事提供:一般社団法人 日本ペット歯みがき普及協会