「○○をすると犬にナメられる」は間違いだった?誤解されている犬の生態としつけ方法

トレーニング・しつけ

初めて犬を家族に迎え入れようと考えた時、ある程度犬について下調べをしておく人がほとんどですよね。

犬の種類や日頃のお世話方法、環境、そしてしつけの仕方

特に犬はオテやフセなどができるほど頭が良いため、しつけ方について本やインターネットなどで学んだ人は多いでしょう。

その中で「犬のしつけ」に関しての記事などを読んでいると、

「犬に○○をさせるな、○○するな」

といった格言のような文がたくさん出てきます。

ですが、これらは本当に犬にさせてはいけないことなのでしょうか?

今回は、今まで謳われてきた犬のしつけ法を覆すお話をしたいと思います。

「犬の服従」はオオカミの実験結果から生まれた

そもそも犬を服従させるという概念を定着させた起源は、オオカミの群れの実験に始まります。

オオカミは犬の祖先だと言われていて、オオカミの行動をたどれば犬の本来の行動が分かるのでは?ということでオオカミの行動観察実験が行われたのです。

実験方法は、オオカミをランダムに数匹選び、とある施設に入れて生活をさせ、行動を観察します。

するとオオカミ達はその群れの中でリーダー格になるオオカミを決め、いわばそれぞれが自分の階級に従うように過ごしていたそうです。

この行動観察から、犬は

・群れの中でリーダーを決めて生活する
・自分がリーダーにのし上がれるよう常に頃合いをうかがっている

というレッテルが貼られました。

ですが実はこの実験、根源が間違っていたのです。

それは、オオカミをランダムに選んでしまったという点です。

本来オオカミは群れをなす際、自分たちで群れを選び、「家族」と認識して過ごします。

そのため自然界のオオカミの群れの中では、リーダーにのし上がろうとするような争い事や階級なんてありません。

むしろ群れのオオカミ達はそれぞれが仲睦まじく、お互いを尊重し合って生活しているのです。

つまり実験段階で本当の家族の群れを観察しておけばよかったものを、あちこちから連れてきたオオカミで人為的に群れをつくってしまったが為に、群れ内で上下関係ができたり空気がギスギスしてしまっていたのです。

これって人間界にも当てはまりませんか?

色々な所から集められ、親しくもない人たちと集団行動を共にしなければならない…

そう、学校会社です。

学校や会社ではそれぞれ役割分担が決められ、上下関係も発生してきますよね。

学校では逆らえないジャイアン的存在、ジャイアンに立ち向かえないのび太くん的存在など。

会社では上司や部下、社長などが当てはまります。

オオカミも同じで、急に見知らぬオオカミたちが閉じ込められて

「さあ好きに生活してください!」

なんて言われても困ります

とはいえその群れの中で生活をしなければならないので、まずはお互い様子を見ながら過ごします。

生活を始める中で、自分がその群れの中でどううまく生きていくかを考えなければなりません。

なんだか強そうなやつがいると「あいつには逆らわないでおこう」と距離を取ります。

こうして距離を取られてヨイショされたオオカミが、いわゆるリーダーになるのです。

この行動を見た学者たちは、「オオカミはリーダーを決めて群れを成すんだ!」結論付けてしまったようです。

逆にいえば、こういった環境下に置かれても柔軟に生活してきた順応性の高いオオカミの性質があるからこそ何百年も前から人間と犬は仲良く共存できたとも言えます。

前置きが長くなりましたが、こういった間違ったオオカミの実験によって

「オオカミはリーダーを決めて生活をする=犬もリーダーを決めて生活をする」

という風に考えられるようになっていきました。

だから

犬がリーダーにのし上がって好き勝手しないように「犬のリーダーは飼い主」を覚えさせよう!

という方向になったのですね。

「○○で服従する」は嘘!間違ったしつけ

犬は本来群れで仲良く過ごす動物なのに、「服従させる」なんておかしな話ですよね。

ということで次は、服従させるための間違ったしつけ方法を挙げていきます。

飼い主は犬より先にご飯を食べろ

犬は飼い主より先にご飯を食べたからといって、自分の方が飼い主より偉いなんて思いません。

これも元々オオカミの群れの観察実験をした時、リーダー格になったオオカミが先にエサを食べていたからだと言われていますが、そもそもこれは本来の群れの行動ではありません。

自然界のオオカミの群れは、エサを獲ってきた大人のオオカミは子供達から先にエサを食べさせるのです!

童話に出てくるオオカミは意地悪な役が多いですが、本当は紳士的で王子様的存在だったのですね。

犬をベッドやソファに乗せるな

犬が飼い主と一緒に寝ると、犬は自分が偉いと思い込む?・・・そんなことはありません!

私も愛犬や猫と一緒にベッドで寝ていますが、うちの気の強いポメラニアンのベル姉さんですらそんなことはありません。

ただ、ベルがベッドでくつろいでいるときに猫が上がってくると「邪魔しないで!」といった感じで怒っていることはありますが…

しかし、ベッドやソファに上がらせるからといって飼い主をナメるなんてことはありません。

せっかく可愛い愛犬がいるのですから、どうせならこんな誤解に振り回されずに一緒に寝たくないですか?

気付けば寄り添って一緒に寝てくれている愛犬…控えめに言って超絶可愛いです。

犬のお腹を上にして押さえ付けると服従する

愛犬を仰向けにしてお腹を押さえつけるなんて、可哀想です・・・やめてあげてください!

確かにこんなことをすると犬は驚いたり弱気な顔をするかもしれませんが、これは飼い主に服従心を見せているからではありません。

お腹は犬にとってとても大切なところであり急所です。

いくら飼い主といえど力づくでお腹を上に向けられると、恐怖心でいっぱいになってしまいます。

このせいで、せっかく今まで築き上げてきた犬との絆が台無しになってしまうことすらあるので、してはいけません。

飼い主より上に犬を持ち上げるな

たとえば飼い主が仰向けに寝転がり、犬を自分のお腹に乗っけます。こうすることで犬は飼い主より上にいるから優位だと勘違いするため、してはいけません。

…と言われていますが、そんなことはありません!

これについても我が家の子で立証済み。

寝転んで愛犬をお腹の上で抱っこしてあげると私の顔をぺろぺろ舐めてきます!

ですがナメられたことは皆無です!

中には、犬をお腹に乗せると「ウゥ!」と唸ってきた、なんていう人もいるかもしれません。

この場合は体を掴まれたところが痛かったとか、急に持ち上げられてびっくりした、などといった何らかの理由が挙げられると思います。

決して「アンタより上なのよ!」なんて思っているわけではありませんので、そこは誤解をしないであげてくださいね。

甘噛みを無理矢理止めさせるのもNG!?

仔犬の甘噛みは問題行動に繋がるから…といった理由でどうしても止めさせたい飼い主さん。

その方法としてマズル(口吻)を握ったりノドの奥まで手を突っ込んだり、叩いたりして止めさせるといった手段が挙げられています。

ですが、本来仔犬が飼い主の手を甘噛みするのは

「遊んで!」「構って!」

などといったサインで、決して攻撃をしたいからではありません。

仔犬が「遊んで」と甘えているのに、飼い主はマズルを掴んで止めさせる…

これってコミュニケーションずれまくってませんか?

結果的に仔犬は甘噛みをしなくなるかもしれませんが、それは

「遊んで欲しかったのに嫌なことをされた」と認識したからです。

こうなってしまうと犬と飼い主の絆はなかなか形成されません。

それが犬の欲求を満たさない根源となり、ストレスを溜めて部屋中を散らかしまわったり、やたら神経質な性格になったり精神が不安定な子になってしまうのです。

本来犬は甘えるときや遊ぶ時にする「甘噛み」と、恐怖心などを抱いた時に行う「攻撃噛み」は使い分けているそうです。

「甘噛み」と「攻撃噛み」は脳内で回路自体分かれていることが実際に立証されているのです。

ですので、甘噛みをするからといって将来攻撃的な犬になることはありません。

むしろ甘噛みを無理矢理力づくで止めさせた方が情緒不安定で攻撃的な犬になったり、飼い主を心から信頼できなくなってしまいます。

そもそも甘噛みが問題行動だというのは人間の勝手であって、犬界では何の問題も無いごく普通の行動です。

甘噛みをしてくる場合は、しっかり構ってあげるとそのうち治まります。

関連記事:わが家の甘噛み大作戦!

まとめ

今回挙げたしつけの中で、「これやってたわ~」なんていうものがあった人もいらっしゃると思います。

しかしこれは、間違った情報を広めてしまったまま放置していることが問題であり、飼い主さんが悪いとは言いきれません。

実際にオオカミの実験が間違っていたことが分かったのもここ20年前後の話で、最新情報を拾い集めない限り正しい情報を得るのが難しいのも現状です。

ペット業界を担う人たちは先頭に立ち、こういった犬の間違った情報の訂正をもっと広めてほしいと考えています。

そしてこの記事を読んだ飼い主さんは、改めて犬の本来の行動や生態を尊重し、目や耳を傾けて愛犬と絆を深めましょう。

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