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譲渡会で出会った1匹のわんちゃんを迎え入れたお話~譲渡会で犬を譲受した体験談~

エッセイ

みなさまこんにちは、ReCheriライターのchiiです。

今日は、我が家で唯一の犬であるウーノとの出会いについてお話させていただこうと思います。

ウーノは元保護犬で、犬の譲渡会で出会い、迎え入れた子です。私は初めて犬の保護団体の方たちの活動と、保護されているたくさんの犬たちを目の当たりにし、ペットブームの裏にある暗い部分を知りました。

これから犬を飼いたいな
もう一匹迎え入れようかな
譲渡犬の迎え入れを考えているけれど、ちょっと不安だな

そう思っている方がいらっしゃったら、私の経験が少しでもご参考になれば幸いです。

ウーノの過去

2年前の冬、我が家は一匹のわんこを迎え入れました。その子はミニチュアダックスフンドの女の子で、名前は『ウーノ』と付けました。

ウーノは年齢が不明です。獣医さんによれば、7歳以上10歳未満くらいという推定しかできないとのことでした。歯の状態や白髪の有無で犬の年齢を推定できる、とネットには書いてあるものの、実際は犬の年齢を見極めるのはとても難しいそうです。その子の飼育環境のストレスの程度や個性によって、白髪が早くに出てくる子もいますし、歯磨きの習慣がなければ3歳であっても歯が悪くなる、と獣医さんはおっしゃっていました。

なぜ年齢が不明かというと、ウーノは迷子犬として保健所に収容されていた子だったからです。

どうやらウーノは、私の住んでいる街からちょっと離れた街で彷徨っていたところをどなたかが通報し、保護されたそうです。保護された時の写真を見ましたが、首輪が付いていませんでした。ハーネスは付いていたものの、リードはありませんでした。

その後、保健所で飼い主さんが現れるのを待っていたそうですが、飼い主さんは現れないまま保護期限が切れてしまいました。

期限が切れる、ということは、殺処分ということです。

絶対飼われていたはずなのに、現れない飼い主。
保護時は鑑札、ましてや首輪すら付けず、あろうことかヒートの出血もありました。
飼い主のなんと無責任なことでしょう。

「ヒート」とは犬の月経のことです。犬の月経は人間とは仕組みが違い、発情期の目印としてまず出血が起こります。ですので、犬のヒートによる出血は妊娠可能の時期の始まりなので、むやみに外に出す行為はとてもリスクの高いことです。

そこで、保健所の方がなんとか命を繋ぐために、地元で活動する犬猫の保護団体に連絡を取り、ウーノは保健所から保護団体の元に移りました。そして2年前の冬、その保護団体が開催していた譲渡会で私とウーノは出会ったのです。

ウーノとの出会い

その日、私は夫と市の動物園に遊びに来ていました。2人とも動物が大好きなので嬉々として駐車場に入った時、ふと「譲渡会開催中」という看板が目に入りました。

「譲渡会って、犬とか猫とかの里親のやつかな?」
「動物園に入る前に、ちょっと寄っていこうか。」

当時、我が家にはロシアンブルーのレディさんと茶トラのオム君という2匹の猫がいました。しかし私たち夫婦にはまだ子供がいないため、2LDKの家も休日もどこか持て余しているような状態で、小型犬も飼いたいね、なんて話していた時でした。ただ、犬をペットショップで買うとなると10万円前後はしますので、なかなか踏み切れずにいました。

そこで「譲渡会開催中」の看板を見て、頭の中に「譲渡会で犬と出会うって選択肢もあったなあ…」と思いながら覗きに行きました。

現実を知る

譲渡会は保健所の施設の一室で開催されていました。手をアルコールで消毒して注意事項などを聞いた後、私たちは譲渡会のお部屋に入りました。

だいたい30匹ほどでしょうか、たくさんの犬たちが大合唱していました。ほとんどが小型犬でしたが、中型犬も数匹、それぞれゲージに入っていました。年齢は様々なようでしたが、子犬はほとんどいませんでした。しかし、部屋の隅には小さなゲージがあり、これから譲渡会デビューを待つパピー(子犬)たちが待機しているようでした。

彼らは、いろんな事情で飼い主を失い、ここにいるのです。

中にはとっても年老いた子もいましたが、その子は譲渡を待つのではなく、保護団体が最期まで保護し続けるということで、のんびりと会場の日向でお昼寝をしていました。

私は一つ一つのゲージにあいさつに行きました。どの子も元気いっぱいで、一緒に遊ぼう!とアピールしてくれました。中には既に新しい飼い主さんが決定した子もいて、ゲージにはその旨が記載されていました。

そんな元気いっぱいな子たちの中で、一匹だけ異様な様子の子がいました。

みんながキャンキャンと元気いっぱいな中、一匹だけ吠えもせず、動きもせず、ゲージの隅っこに座っているミニチュアダックスでした。顔を見に行くと、その子は空を見つめているような様子で、私のことを見ようとはしませんでした。

その子の目は片目が眼球委縮していて、しっぽはありませんでした。

目があまり見えていないのかもしれない、と思い、声をかけてみました。すると、私の方を向いたものの、どこか空虚な感じでした。犬と言えば、口をベロベロしてきたり、元気よく吠えてみたり、勢いよく膝に乗ってきたり、そういったイメージを持っていたので、その子の無気力な様子がすごく衝撃的でした。

私はスタッフの方に、許可を得て抱っこさせてもらいました。やはりその子はされるがまま、なんのリアクションもなく、ただ私に抱かれました。抱っこしてみて気付きましたが、その子は骨が浮き出るほどガリガリで、背骨は湾曲していました。そして、子供を産んだことがあるようなおっぱいをしていました。

それがウーノとの出会いでした。

これは推測でしかありませんが、ウーノは繁殖犬だったのではないかと思いました。以前SNSで、繁殖犬として背骨が曲がるほど小さいゲージで過ごし、子犬を産み、子を産めなくなったら放棄される子も少なくない、ということを目にしていたためです。

ウーノの過去はもう誰も知ることはできません。しかし、少なくともウーノは放棄されてしまったのだと、胸が痛みました。

他の犬も、目や足が不自由そうな子もいましたし、ちょっとしつけが大変そうな子もいました。しかし、いくら見た目が悪くても、元気と愛嬌があればきっと飼い主さんは見つかるでしょう。しかし、目も委縮して、こんなに心を閉ざして感情が見えないこの子は、きっと見つかりにくいだろうな…

私はその時、この子を引き取ろうと決めていました。(勝手に。)

後で夫に聞いたのですが、夫も私がウーノを選ぶと思っていたそうです。ですので、いきなり私が『この子を飼いたいです』と言い始めた時、やっぱりなと思っていたそうです。

動物園に動物を見に来ただけなのに、こうして私たちはウーノを受け入れることになりました。

その日に連れては帰れない

この子にします!と高らかに宣言したものの、その日に連れて帰れるわけではないようでした。どうやら、一週間後に保護団体のリーダーがウーノと共に我が家を訪問し、家庭環境を審査して里親にふさわしいか見極めるとのことでした。

そして、もし審査でOKが出たら、まずは1カ月間『トライアル』としてうちで暮らしてみるという流れとのことでした。飼いたい!と衝動的に思ってしまっても、実際一緒に暮らす中で無理が生じてしまうことは少なくありません。

もし先住犬や他のペットがすでにいる場合、その子と相性が悪いこともあります。そして、保護犬というのは何かしらの心のトラウマや体の障害などを抱えている子も多く、成犬は新たにしつけを入れていくのはとても根気がいるものです。

ですので、このように簡単に受け渡さず、しっかりと家族構成や先住ペットの有無、家の広さやペット飼育可の家であるかどうかなど様々にチェックを受けるのです。

これは、これ以上飼育放棄の連鎖をなくすための大切なことだと感じました。

ドキドキ家庭訪問の日

もう、私は待ち遠しくて待ち遠しくて、1週間がとてつもなく長く感じていました。先住猫たちが犬を受け入れられるかもちろん不安もありましたが、

「猫は嫌だったらタワーの上に逃げられるし、時間が経てばきっと大丈夫だろう」

などと呑気に捉えていました。

いよいよ、チャイムの音が鳴りました。心臓が口からペロッと出そうでした。
リーダーさんに抱かれたウーノはかわいいオムツをしていたことを覚えています。

「ちょっとこの子を放して、様子を見ましょう。」

リーダーさんがウーノを解き放ちました。ウーノはヨチヨチと部屋の匂いを嗅いで歩いていました。

ふと、私は壁やソファーなどの家具にゴンゴン当たりながら歩いていることに気が付きました。その様子を見て、私のお腹の中で銅鑼(どら)が鳴ったかのように、譲渡会で出会った時から感じていた小さな不安は現実となりました。

ウーノは目が見えていない様子でした。

片目は委縮していたものの、もう片方の目に異変はなさそうだったのですが、ウーノは全盲のようでした。後に獣医さんに行ったときに検査をしていただいたところ、やはり見えていないとのことでした。確かに、開いている方の目も玉虫色に濁っていることに後で気が付きました。

「だから、反応が薄かったんだ…」

私はこの時、「受け入れる」という言葉の重さを思い知りました。

リーダーさんも、まさか全盲だとは気づかなかったようで、

「気が付かなくてごめんなさい。トライアルをキャンセルしても大丈夫です。無理はなさらないでくださいね。」

とおっしゃって下さいましたが、これはペットを愛する方になら分かっていただけると信じておりますが、もう出会った時からウーノは「うちの子」なんです。

目が見えないくらいでバイバイなんて、寂しいじゃありませんか。耳はちゃんと聞こえているのだから、もう一度新しい名前で呼んであげたいじゃないですか。

てやんでぇ!
ウーノはもううちの子だい!
全盲なんて関係ねぇや!

私の中の江戸っ子魂が愛を叫んだ瞬間でした。(江戸っ子ではないけれど。)

階級が決まる瞬間を目撃

しばらくすると、猫たちがじめっとした目でウーノに近付いてきました。レディさんは猫生2回目の犬、オム君は初めての犬。

レディさんは

「まーたアナタはヘンナモノ連れ込んで!今度は犬?!まったく!だいたいアナタっていう人は○×△□~!」

と言わんばかりに、遠くからごにょごにょと文句を言っていました。オム君はというと、タヌキにでもなったのですかと聞いてみたいほどにシッポをぶわぁっと膨らませて、初めて嗅ぐ犬のニオイに目を丸くしていました。

ウーノはというと、ただでさえ知らない場所にいて、知らない人も猫もいて興奮していて、ギャン鳴きで猫をけん制。

…まぁ、2週間もすればきっと慣れるだろう…と思ったその時、決定的瞬間は訪れました。

ガムガム吠えるウーノに、女王様レディがツカツカと歩み寄り、本気の猫パンチ。

鉄拳制裁。
鼻っ面をバチコーン!

静寂が辺りを包みました。

すると、沈黙したウーノがおもむろに、こてーんとお腹を見せる服従のポーズ…

「身分、決まったね…」

リーダーさんがほっとしていました。

私はこの目で、パッションとパッションのぶつかり合いを目の当たりにし、自然界に尊敬の念を抱きました。こうして無事に(?)ウーノの身分は猫より下となったのでした。

今でもウーノはレディさんのことをサバンナの王者だと思っている様子です。

現在はそれぞれ、良い距離感を保って生活している様子です。しかし、寒い季節にはさり気なく寄り添っていることも!


■コタツに入る私の膝の上でぬくぬくする子たち

コタツは人と動物をダメにします。今年はここにもう1匹黒猫ネロ君が増えるので、総重量は15㎏を超えてきます。私の太ももが太いことが初めて役に立ちそうです。

譲渡の手続きについて

レディさんの鉄拳制裁によって平和が訪れた後、リーダーさんと書類のやり取りをしました。

まず、私からはマンションのペット飼育許可書を提出しました。これは事前に必要だと伝えられていたので、マンションの管理会社に事情を説明して書類を作っていただきました。

そして、リーダーさんからは譲渡までの流れの説明と、団体がウーノに避妊手術やワクチン接種を実施しましたという証明書をいただきました。トライアル期間が終了したら、正式に飼い主がリーダーさんから私に移り、市役所からの通知も届くようになりますとのことでした。

そして、ウーノの手術費やワクチン代として4万円をお支払いしました。通常、メスの避妊手術だけでも5万円前後しますので、ワクチンも込みでこんなに安くて大丈夫なのかなと心配になりました。しかし、1匹でも多くの命を救いたいという団体の願いだと受け止め、お支払いいたしました。

ウーノ、新生活で体調不良

トライアル期間が始まり、ウーノも部屋の間取りを何となく覚えてくれたようで、ごちごちぶつからずに歩けるようになりました。ただ、おもわず猫にぶつかるとしっかり怒られているようで、いつも猫の気配を避けながらヨチヨチと歩いています。

しかし、環境が変わったストレスか、ひどい下痢と皮膚炎を発症してしまいました。下痢は粘膜や血が出てしまうほど酷く、皮膚炎による脱毛でごっそりと毛が抜け落ちてしまいました。

ウーノの新生活が始まってから約1年間は、ほとんど通院と治療の日々でした。現在はもうすぐ3年になりますので、皮膚炎もほぼほぼ落ち着き、下痢に関しては完治しました。

猫たちはそれぞれペット保険に加入していましたが、ウーノは推定年齢も若くはなく保険にも入っていなかったので大変な出費でした。お会計のたびに目から火花が散りました。

しかし、かわいいわが子のため、お百度参りのような思いで通院しました。ペット保険は本当に大事だと実感し、ウーノの体調が落ち着いてからインターネットで保険に加入しました。シニアで入る保険料はちょっとお高いですが、ウーノはもともと体が強くなさそうなので、今後のための安心料だと思っています。猫に関しては一回も保険を使ったことはありませんが、こちらもお守りとして継続しています。

ペット保険って、正直すごく悩ましい

お会計をしてくれた動物看護士さんに、ペット保険はやっぱり加入した方が良いかと相談してみました。

「加入している方もいますし、加入せずに保険料と同額くらいを自分で積立て貯金して、何かあった時の蓄えにしている方もいますよ。こればっかりは難しい問題ですが、余裕があるなら保険に加えて積立貯金も少し両立しておくと安心ですね。」

とアドバイスをいただきました。余裕のない我が家ですが、ウーノの一件でどのくらい高額になるかをお勉強させていただいたので、無理のない範囲で積立貯金も始めようと思います。何もなければ、積み立てた貯金から高級な缶詰ディナーで還元するも良し、ですものね!

お金のことも話し合っておこう

ウーノのように、環境が変わると体調を崩しやすくなりますし、保護犬の中には体の弱い子も少なくありません。保護犬を受け入れる、ということはそのようなリスクや費用面についてもご家族で相談しておくと良いと思います。

犬や猫など命あるものを迎え入れるということは、それなりにお金がかかります。贅沢をさせるためだけではなく、医療費がかかることも理解しておかなくてはいけません。生涯なんの病気をしない子もいますが、万が一の時には結構な金額が一気に必要になることもあります。それは人間とは違ってペットの医療費は実費だからです。

保護犬の中には健康優良児もいますが、何かしら問題があって飼育放棄されてしまった子もいます。私のように、実際にトライアルをしてみて初めて病気であることが分かることもあると思います。犬のトイレやフードを用意するのと同じように、事前に金銭的な準備もしておくことをおすすめいたします。

3回目の冬が来るね

イタリア語で「UNO」とは数字の1という意味です。ウーノにはおめめが一つしかないけれど、一番星のようにキラキラしていること、これからは1番に愛されてほしいという願いを込めて、ウーノという名前にしました。若干、神田うのさんが頭をよぎりますが。

犬を飼おう!と思った時、ペットショップの他に譲渡犬という選択肢を知っておいてほしい、とは思います。全国の保健所や保護団体のもとには、明日の命も分からなく、飼い主の愛情を欲している子たちがたくさんいるからです。

しかし、実際に譲渡犬を受け入れることは大変なこともあります。ペットショップで赤ちゃん犬を迎えるよりもずっとずっとずっと、根気が必要だと思ったからです。

「受け入れる」という覚悟を持つ必要があることを知っておいていただきたいなと思います。

しかし、私がなにより譲渡犬を受け入れて良かったと思ったのは、ウーノに表情が出るようになったと感じているからです。ウーノの写真を振り返ってみると、確実に表情が違ってきています。出会ったときは棒切れのようで、されるがままの無気力だったウーノの目に輝きが戻ったことが何よりも嬉しくて、あの日出会えて本当に良かったと感じています。

こちらは、保護された時と現在の表情を比較してみた画像です。

親バカの色眼鏡は重々承知ですが、それでも表情が柔らかく豊かになったように思います。

こちらは、ウーノのおしりです。シッポはコーギーのように断尾されています。ですのでシッポを振っての感情表現はできませんが、たまにプリプリッと振れていることがあります。シッポが動くようになったのはここ最近で、感情表現が豊かになってきたのかなと嬉しく思います。

命を救えた、なんておこがましく、私自身もウーノからの学びがたくさんあり、悲しい時には背中を借りています。

現在我が家は猫3匹犬1匹人間2人、気が付けばなんだか大所帯になってにぎやかになりました。これ以上の受け入れはできなくなってしまいましたが、みんなで協力して暮らしていこうと思います。

現代の社会では男とか女とか、子供がいるとかいないとか、そういう区切りの時代ではなくて…いろいろな思想や事情、過去を持つ者たちが寄せ集まって暮らすことも家族という形の1つではないかと思っています。

ペットもまた同じで、これが我が家らしいかな、なんて思っています。

これからもし、犬や猫を迎えたいと思っている方に、私とウーノの出会いのお話が地域の譲渡会という選択肢のご参考になれば幸いです。




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