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オーストラリアと日本の犬事情の違い~考え方の違い編~

エッセイ

前回に引き続き、オーストラリアと日本のワンコ事情の違いについてご紹介いたします。

前半は「ライフスタイルの違い」に焦点を当ててオーストラリアのワンコ事情をご紹介しました。
後半の今回はオーストラリアと日本のワンコ事情における「考え方の違い」について、私のワーキングホリデーで経験した事も含めご紹介したいと思います。

それでは、Check it up★

考え方の違い

犬種よりも、どう育てるかが大切

オーストラリアで驚いたことはたくさんあるのですが、特に驚いたことは一般のご家庭で闘犬出身の犬種が普通に飼われていたことです。

危険性の高い犬と言えば「アメリカンピットブルテリア(以下、ピットブル)」という犬種がいます。

ピットブルは性質がとても攻撃的で、中型犬であるものの噛む力もとても強い犬種です。ピットブルは闘犬として戦うために生み出された犬種なので、体はとっても筋肉質のマッチョです。「世界最強の闘犬」とまで言われています。

大変危険性の高い犬種のため、複数の国では飼ってはいけない犬種とされています
オーストラリアでも飼育規制があります。

しかし、オーストラリアではピットブルと同じ闘犬の血を引く「スタッフォードシャーブルテリア」という犬種が人気です。
現地の人は「スタッフィー」という愛称で呼んでいます。
見た目もピットブルにとてもそっくりですが、ピットブルより一回り小さい体型をしています。

家庭犬として改良されてきたためピットブルよりも穏やかで人懐っこい性格をしています。しかし、闘犬の血を引くため力はとても強く、興奮した時には注意が必要です。現在も散歩中に自分の大型犬がスタッフィーに噛まれて飼い主が逮捕されるという事件も起こっています。

私がオーストラリアで住んでいた家の近所に、通りがかるといつもフレンドリーにしてくれるワンコがいました。
飼い主さんは現地人の男性であいさつ程度しか話したことはなかったのですが、通りがかるたびにそこのワンコは柵越しに近付いてきてくれて、おなかを見せてくれたり柵の間からにおいを嗅いでくれたりしていました。

飼い主さんがわんこと一緒にバルコニーでくつろいでいる時には、

「ハロー!私、犬がすごく好きで…この子、すごくいい子だね!」

とつたない英語で話しかけると、飼い主さんは

「ありがとう、この子は人が大好きなのさ!Hahaha!」

と言っていました。

今の夫は当時まだ彼氏でしたが、一緒にオーストラリアにいました。
夫も犬が大好きなのでそのワンコを紹介してあげようと、休みの日に夫をそのワンコのおうちに連れていきました。

いつものように、バルコニーの柵越しにワンコにごあいさつしに行くと、夫が血相を変えて後ずさりしました。

「この子…ピットブルだ…!あぶないよ!!!」

この時夫はスタッフィーをそっくりなピットブルだと勘違いしていました。私は「ピットブル」という怖い犬種がいることは知っていたのですが、どの犬がピットブルであるかルックスを知りませんでした。後で調べてみたところ「オーストラリアではピットブルは飼育制限されている」と目にしたので、体のサイズ的にもこの子はスタッフィーであると気が付きました。

しかし、こんなにフレンドリーで普通に飼われているこの子が闘犬出身なの…?

ピットブルだと思い込んでいた夫はビビって後ずさり…最後まで近付こうとはしませんでした。
そんな夫を前にその子は相変わらず穏やかで、柵の向こうでゴロンしておなかを見せて地面をグネグネしていました(笑)。

そういえば、その子が私や他の人に威嚇して吠えたところを見たこともありません。その子の瞳はきれいな金色をしていて、私はその子の優しい目が大好きでした。

おそらく、そのワンコの飼い主さんはしつけをしっかり行っていたのだと思います。
(ゴリゴリのマッチョなコワモテのおじさんでしたが、良い人でした。)

いくら家庭用に改良されていると言えども、スタッフィーは本能的に危険性を奥にひそめています。不信感を覚えると攻撃的になってしまうという一面を持っている犬種なのです。特に動物の本能は興奮した時に爆発してしまうことが多く、周りが見えなくなると人や他の犬を傷付けてしまうこともあります。

そういった犬種を飼う条件に、しっかりとしつけを行うことが本当に大切です。
それは他人のためのマナーであることはもちろん、ワンコの立場と穏やかな日々を守る愛でもあるのです。

そして、あのスタッフィーと出会って、暴走してひと噛みで大変な大けがになってしまうような凶暴性を秘めている犬でも、その子の性格や育った環境でこんなにも良い子になるのだととても感動しました。

殺処分と安楽死へのハードル

オーストラリアでは、噛んで人に危害を加えるような凶暴な犬は殺処分の対象にされます。
犬のトラブルに限らず、オーストラリアをはじめ欧米諸国では事件があると些細なことでも裁判で白黒つけることが一般的ですので、すぐに訴えられてしまうからです。ですので、逆を言えば街行く子たちはみんな良い子ばかりなのです。自然や動物を愛するオーストラリアの文化ですが、安楽死や殺処分へのハードルは日本よりもだいぶ低いと感じました。

トリミングサロンに来ていたワンコは見た目では元気だったのにも関わらず、ガンが見つかった途端に安楽死の道を歩みました。

「苦しんで衰弱していく方がかわいそう」という飼い主さんの考えですので、そこに正解も不正解もありませんが、ただ安楽死に対する考え方も日本とは違うのだと感じました。

オーストラリアでは「あるがままの姿」が良い

日本ではお洋服を着ているワンコはとても多いのですが、オーストラリアでは犬の洋服やネクタイなどのファッションはあまり人気ではありません。

たまーにサロンで毛にリボンを付けてほしい、マニキュアを塗ってほしいなどのオーダーを受けることはありましたが、洋服を着ている子はほとんどいませんでした。

日本ほど家の中に毛が落ちること気にする方がいないように感じましたし、ワンコが汚れたら洗えばいいじゃない!という考えのようでした。

そして、なんでも「あるがままの自然な姿が良い」という考えもあると思います。

オーストラリアでは断尾や断耳は法律で禁止されています。
コーギードーベルマンシュナウザープードルなど特定の犬種は姿の規定のためシッポを切る(=断尾)ことが一般的ですが、オーストラリアではドッグショーに出る子でも断尾しないそうで、断耳についても同じです。

断尾や断耳は子犬の時に麻酔なしで行うことが一般的です。
痛くて怖くてかなぎり声で鳴く子犬を思うといたたまれないですものね。日本でも断尾は断る獣医さんもいらっしゃいます。
「ありのままの姿がすでに素晴らしい」という価値観は見習っていきたいですね。

オーストラリアは保護犬の認知度が高い&店頭販売が禁止に

先ほど「噛んで人に危害を加えるような凶暴な犬は殺処分の対象にされる」とご紹介しましたが、犬の命を軽んじているわけではありません。むしろ、保護犬を迎え入れるという選択は日本よりもっと一般的に行われています。

トリミングサロンに来てくれるスタンダードプードルはたくさんいましたが、どの子も「レスキュードドッグ」と飼い主さんが言っていました。これはいわゆる「保護犬」のことで、スタンダードプードルたちの他にも、たくさんの子が元保護犬でした。日本では最近やっと保護犬を引き取るという選択が一般的になってきましたが、オーストラリアは10年以上も前から保護犬の認知度は大変高かったのです。

そして、2017年12月にオーストラリアのビクトリア州では「商業用に繁殖された犬のペットショップでの店頭販売」「パピーファクトリー(悪質なブリーダーによる、子犬を生産させるため妊娠と出産を繰り返させる場所)」廃止法が正式に可決されました。

代わりに、ペットショップは保護犬や保護猫だけがいるようになり、新しい家族との出会いの場所となりました。
そういえばゴールドコーストの街中にもペットショップは一件もありませんでした。

保護犬以外で赤ちゃんから犬を飼いたい場合は、ブリーダーから直接譲り受けるという方法になります。そして、子犬を迎えてからも飼い主はブリーダーに定期的にワクチンの接種の有無やその有効期限、かかった病気の治療についてなど様々なことを連絡を取って報告しなければいけません。引き取られた子が虐待されていないか、大切に扱ってもらえているかをブリーダーがチェックするのです。

その代わり、しつけに関しての疑問点や不安点などをブリーダーに相談することができます。お父さんとお母さんになる犬、また子犬の兄弟を直接見ることもできますし、ブリーダーは犬の性格や遺伝的な問題がないかなどもしっかり把握していますので安心感があります。

そして、子犬が産まれるまで待たなければいけないことがほとんどです。信頼のおけるブリーダーなら、母親にかかる負担を最低限にするため頻繁に出産はさせないからです。1年ほど待つことが一般的でとっても待ち遠しいですが、その間に飼い主は「犬ありきの生活」にライフスタイルを整える準備ができるので必要な時間です。特に初めて犬を飼う人はドッグフードやゲージ、トイレなどの必要な犬グッズをそろえたり、お散歩の時間やお留守番させる時間を想定して生活を整える必要があるからです。

洋服のように簡単に犬を買うのではなくて、命を迎え入れるということはこのくらい重大な決断だということを改めて実感しますね。
日本でもペットの命を大切に扱う社会やルールになることを切に願います。

世界中で犬は友達!

この写真は帰国前最後の出勤日に、最後のワンコのトリミングを終えて飼い主さんのお迎えを待っている時のものです。
オーナーが隠し撮りをしていたので全然気が付かなかったのですが、良い顔してるなぁ私!(笑)

トリミングサロンでの勤務中、ワンコの向きを変えたり座ってもらう必要がある場面があったのですが、私の英語の発音が悪すぎて通じないということがしょっちゅうありました(笑)犬は犬でも、やっぱり日本語は通じないんだなぁと不思議でした。

ラブラドゥードゥルやスタンダードプードル、スタッフィーなど生で初めてみた犬種もたくさんいましたのでとっても充実した毎日を過ごすことができました。

言葉や文化は違えど、ワンコを愛する気持ちは世界共通!
トリミングが終わって飼い主さんが迎えに来ると、飼い主さんの声や車の音を聞いた途端にみんな弾け飛ぶように喜んでいました。

オーストラリアと日本では文化や気候が違うのでもちろん考え方もライフスタイルも違います。
どちらが良い、というわけではなく、良いところは日本でも見習っていきたいですね。

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