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涙やけの原因は流涙症!?涙やけ対策を行う前に流涙症の原因を見つけましょう。

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こんにちは、獣医師でもあり鍼灸師でもある、ラブラドールレトリバー飼いのライターです。

私は高齢のラブラドールレトリバーと暮らしているのですが、ある日、愛犬の下まぶたの真下に涙の痕を発見。

「なぜ真ん中から涙?」

と疑問に思い、眠る愛犬の目をよくよくみると、加齢によってか下のまぶたが垂れ下がり、一番窪んだ所から涙が垂れていました。

「そうか、やっぱり犬も年を取ると色んなところが弛むのか…」

と加齢に伴うタルミ改善に、目や耳の周囲に美容鍼を試してみたら、少しだけ改善!

下まぶたの真ん中からの流涙は無くなりました。

それ以来、時折顔周りに鍼をするようになりましたが、完全にはタルミを改善できず、やや弛んだ下まぶたのせいで、目を閉じても隙間ができ、目頭に少しだけ涙やけができるように…。

涙やけは、見た目の問題もありますが、放置しておくと涙で濡れた部分の皮膚に雑菌が繁殖し、皮膚炎を起こすこともあるため、厄介なもの。

治るものであれば、治してあげたいですよね。

涙やけするほど涙を流している状態のことを流涙症(りゅうるいしょう)と言いますが、これは腹痛や頭痛といった症状の名前と一緒で、「涙が流れる症状がある」という意味でしかありません。

このため、「涙やけの原因」=「流涙症」ではなく、「涙やけの原因」=「流涙症の原因」と言えるのですが、腹痛の原因が食べ過ぎだったり胃炎だったりするように、流涙症にも色々な原因があります。

目から涙が溢れる原因は、大きくわけると2つです。

その中でも代表的なものをピックアップしました。

一般的な動物病院で行われることが多い流涙症に関する検査法についてもご紹介していきます。

目の雑学に関してもご紹介しますので、涙やけに悩む飼い主さん、是非参考にしてみてくださいね。

流涙症の主な原因は2つ

原因1:目の表面に刺激物がつく

学生時代、実験中にスライドガラスを落として割った際、その欠片が目に入ったことがありました。かなり痛くてブワッと涙が溢れ、欠片が取れて傷ついた目が治るまでジワジワと涙が出ていたことがあります。

ガラスの欠片ほど大きくなくても小さなゴミが目に入ると、目が痛くて涙が溢れてきますよね。

犬も同じように目にゴミが入って傷ついたり、別の要因で目に炎症が起こったりすれば涙が溢れてしまいます。

目を刺激している原因が解消されれば、涙の量は通常に戻るので、治療により涙やけは改善していきます。

目の表面を刺激する原因

A) 角膜炎・結膜炎

黒目の上を覆う透明な角膜や白目の部分の結膜に炎症が起こると流涙してしまいます。

・異物や外傷
・細菌やウイルスの感染症
・アレルギーなど免疫系疾患

B) マイボーム腺炎

目蓋の縁にある脂腺の炎症、いわゆる、ものもらいが刺激となって流涙することがあります。

C) 目の腫瘍

目の表面を刺激するような位置にできた腫瘍が原因となることもあります。

D) まつ毛の生え方の異常(生まれつきの原因)

・睫毛重生(しょうもうじゅうせい)
本来のまつ毛の内側に更にまつ毛が生えている状態で、生後数か月前後から流涙症がみられるようになります。
トイプードルをはじめとした、目が大きくまつ毛が長いイメージのある犬種に多くみられます。

・睫毛乱生(しょうもうらんせい)
本来、外向きに生えるはずのまつ毛が内向きに生え、目を刺激します。
短頭犬種に多くみられます。

・異所性睫毛(いしょせいしょうもう)
本来とは異なる場所(まぶたの裏など)にまつ毛が1~数本生えている状態です。
まぶたをひっくり返してよく探さないと見つかりません。

E) まぶたの異常

・眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
まぶたの縁の一部ないし全部が内側に反転している状態で、まつ毛やまぶたの被毛が目を刺激します。
チャウチャウやシャーペイをはじめとする顔面にタルミとシワが多い中~大型犬種によくみられます。

・眼瞼外反症(がんけんがいはんしょう)
まぶたの縁の一部ないし全部が外側に反転し、「アッカンベー」をした時のようなにまぶたの裏の結膜が少し見えている状態です。
まぶたが反転している部分の結膜や角膜は慢性的に外気に曝されるため、流涙がよくみられます。
セントバーナードやグレートデンなど顔面の大きな犬種によくみられ、少しだけの外反は犬種の特徴ともなっています。

・この他、加齢に伴って眼瞼外反症になること、傷がもとでまぶたの形がゆがむこと等もあります。

原因2:涙の通路が狭い。詰まった。

涙が流れる通路のことを涙液排出路(るいえきはいしゅつろ)、ないし、涙道(るいどう)といいます。

目から鼻にかけてある涙の通路なので、一番大きな管部分の名前をとって鼻涙管(びるいかん)とも呼ばれています。

この涙道のどこかが生まれつき異常がある場合、あるいは、涙道自体の炎症や角結膜炎や鼻炎といった涙道周囲の炎症などが原因で、涙道が狭くなったり、詰まったりした場合には流涙症になってしまいます。

涙道が狭い状態を鼻涙管狭窄(びるいかんきょうさく)、涙道が詰まっている状態を鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)といいます。


■涙液排出路の位置はこんな感じです。

一般的な原因

A) 角結膜炎
結膜が炎症で腫れあがると涙道の一部が一時的に圧迫や変位涙の流れが悪くなります。

B) 鼻炎・副鼻腔炎
涙道は鼻腔や副鼻腔の周囲を通っているため、これらが炎症で腫れると涙道も圧迫されて涙の流れが悪くなります。

C) 涙道自体の炎症
鼻炎や角結膜炎があると、それらの間にある部分にも炎症が波及してしまいます。
例えば、結膜の細菌感染があると、その感染は鼻涙管にも及び、ついで鼻炎や副鼻腔炎を生じることがあるのです。そして、この逆も起こります。炎症が重度であれば、閉塞してしまうこともあります。

各炎症の原因は、細菌やウイルスの感染やアレルギーのことが多く、これらが複合していることもあります。

中には歯周病から鼻炎・副鼻腔炎を起こし、流涙症になってしまうことさえあります。

生まれつきの原因

A) 無孔涙点(むこうるいてん)
涙点の孔が開いていない状態で、涙が排出されません。

B) 下涙点(かるいてん)の位置異常
本来の位置とはずれた位置に涙点がある状態で、涙が排出されづらくなります。

C) 微小涙点(びしょうるいてん)
涙点が小さすぎる状態で、涙が排出されづらくなります。

D) 涙を溜める部分が浅い/狭い
トイ犬種の中でも目がつぶらで大きく見える犬では、顔に比較し目が大きめなので、涙を溜める部分が浅くなりがちで、まぶたと眼球の間の隙間も狭くなりがちです。この状態では涙が涙点から排出される前に外へと溢れてしまいます。

E) 眼瞼内反症による変位
鼻側の下まぶたがわずかに内反していることが原因で涙点や涙小管(るいしょうかん)の位置がずれ、涙の排出がうまくいかない所に、内反による刺激や睫毛重生などが重なって涙の産生も過剰となり、涙が溢れてしまうことがあります。

F) 鼻涙管の一部が狭い
短頭犬種やトイ犬種では生まれつき鼻涙管の一部が狭い場合があります。
このような場合は、何らかの炎症が起こると狭窄したり閉塞したりしやすくなります。

流涙症の検査ってどんなもの?

流涙の原因を探すために症状に応じて様々な検査が行われます。

基本的な検査の流れをご紹介してきましょう。

①目視検査

涙を流している原因がどこにあるのかを目で見ていきます。

この時、まつ毛やまぶたに生まれつきの異常があるかどうかもチェックします。

細かい部分は検眼鏡などを使って検査します。

②涙の量を測る検査

ドライアイの検査にも使われるものですが、シルマーティアテストと呼ばれる涙の量を測る検査が行われることがあります。

涙の量が過剰なのか、流れが悪いのかを区別します。

細い紙や糸を下まぶたに挟み込んでしばらく待つものなので、違和感はありますが、痛くはない検査です。

③目やにの検査

目やにがある場合は、目やにを採取して顕微鏡で病原菌を探したり、培養・感受性検査で病原菌の種類を調べ、効果的な抗生剤を探したりすることがあります。

検査に週単位で時間がかかることもあるので、その間に診断的な治療として点眼薬や飲み薬が処方されます。

最初はここまでの検査をせずに、症状からお薬が処方されることもあります。

④角膜のダメージ度をチェック

角膜に角膜炎などのダメージがありそうな時は、特殊な染色液を使ってダメージの範囲や深さをチェックします。

一般的にはフルオレセイン染色液が使用されます。

これはヒトの眼科で目に傷がないかのチェックにも使用されているものです。

コンタクトレンズを処方してもらう時などに使われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

⑤鼻涙管閉塞チェック

フルオレセイン染色液を使った検査時、鼻涙管閉塞の簡単なチェックも行われます。

目と鼻は繋がっているので、染色液が涙道を通って鼻の中にでてくるかどうかを特殊なライト(コバルトブルーフィルターをつけたライトやウッド灯)で確認します。

閉塞がなければ染色液を用いてから数秒~10秒ほどで鼻に染色液が滲みでてきます。

滲み出てきたら閉塞はないと診断されます。

ただし、滲み出てこないからといって閉塞があると診断されるのではありません

一時的に涙道のどこかに膿が詰まって閉塞しているかもしれない可能性があります。

滲み出てこない場合は、もう少し詳しい検査に移ります。

⑥涙道通水検査(るいどうつうすいけんさ)

目頭近くのまぶたにある涙点に細い管を挿入し、洗浄液を注入して各部位で流れるかどうかをチェックする検査です。

検査時に鼻涙管に詰まったものを洗い流すことから、鼻涙管洗浄(びるいかんせんじょう)とも呼ばれています。

犬の場合、極度に怖がりであったり、興奮しがちであったりするのでなければ、点眼麻酔下で行うことも可能です。

点眼麻酔で無理な場合は、鎮静や全身麻酔の検査、ないし、検査をしないという選択肢があります。

検査をしないという選択肢の場合は、ほったらかしにするのではなく、症状から疑われる病気の点眼・投薬治療を行って経過を観察してみることになります。

検査を受け、閉塞があれば、閉塞部位を詳しく調べる検査をするかどうかが次のステップとなります。

ここから先は眼科を得意とする動物病院での検査になりますが、そこへ行く前に原因が見つかることが多いです。

まとめ

流涙症の中には検査をしても原因が特定できないものがあり、その場合は特発性流涙症や涙やけ症候群と呼ばれています。

しかし、流涙症の多くは検査すればわかる原因があり、それに応じた治療を行っていくことで症状が改善していくものが沢山あります。

流涙症対策を行う前に、まずは原因を探してあげてみてください。適切な対策をしてあげられますよ。

おまけ:目の雑学

流涙は目からのSOS

涙は目の表面を保護し、酸素や栄養を渡し、目の機能を維持するために大切な物。

涙は常に涙腺などから適度な量が産生されています。

でも、目が刺激を受けると、目を守るため涙が過剰に産生されてきます。

流涙は目からのSOSといえるでしょう。

涙液排出路(るいえきはいしゅつろ)の構造

1.涙湖(るいこ)
目頭にある瞬膜と下目蓋の間で、涙がじわっと溜まる部分のこと。涙が溜まって湖のようなんて、風流な命名ですね。

2.涙点(るいてん)
目頭近くのまぶたの内側にある孔で、上下に1個ずつあります。

3.涙小管(るいしょうかん)
上下の涙点からそれぞれ繋がる細い管。

4.涙嚢(るいのう)
上下涙小管の合流する部分。

5.鼻涙管(びるいかん)
涙嚢から鼻の奥へと繋がる管

瞬きする時、新しい涙が目の表面を覆い、涙湖に溜まった古い涙は涙点から押し出され、涙小管を通って涙嚢に入り、鼻涙管を通じて鼻の奥へと排出されます。

このように、瞬きは涙を入れ替える大事な役割を持っています。

目が乾いたな、と感じたらゆっくりと何度か瞬きしてみてください。

涙は透明なのに、涙の痕が茶色や赤くなるのは何故

涙に含まれるラクトフェリンやポルフィリンといった成分が酸化されたり光を吸収したりして茶色や赤色に変化してしまうためです。

これら成分は唾液中にも含まれるため、肢先をよく舐める場合には肢先も着色してしまいます。

着色した部分の匂いが強い場合は、マラセチアという酵母菌の一種が感染している可能性もあります。

散歩の前後を含めて涙をこまめに拭くようにしてあげると、着色を少し抑えられます。

 

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